女子アナの「王道」から外れてしまった神田愛花 彼女には自分の道を歩んでほしい

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 神田愛花は、変人である。

 NHKアナウンサー時代、「爆笑オンエアバトル」のMCを務めたあたりから、彼女のそうした素質がつまびらかになったと記憶する。素っ頓狂で傍若無人。NHKの女子アナらしからぬ珍しいキャラで、「天然」「不思議ちゃん」というカテゴリーに分類されてきた。芸能界における「天然」が皆そうであるように、ある程度計算された上で演じているのかと思われていたが……。

 この度上梓された著書「王道っていう道、どこに通ってますか?」(講談社)では、演出などでは絶対に到達できない域の、彼女の変人たる所以が全て明らかにされている。

 写真週刊誌「FRIDAY」での連載エッセイをまとめた本書。幼少期からアナウンサー時代を経て現在まで、ずっと「王道」と呼ばれる道を歩く人生に憧れ、目指してきたが、全てそこから外れたルートを歩まざるをえなかった半生を振り返る。

王道との縁のなさ…「置かれた場所で咲く」

 そもそも、フリー女子アナの連載といえば、お洒落な女性誌でファッションやメイクを語るのが常だが、自分に声をかけてきたのは、「女子アナの敵」FRIDAY。王道との縁のなさをしみじみ自覚し、以後は置かれた場所で咲くことを信条としているそうで。

「お嬢さま育ち」を自称するかしないかの逡巡に始まり、あけすけな下ネタや、丸出しの物欲、出世欲。飽くなき野望と、現実との乖離……。脳内むき出しの内容もさることながら、特筆すべきは、その鋭い観察眼だ。数学や物理を専攻してきた理系脳ゆえ、非常に合理的に、目に映るあらゆる事象を分析し、データを蓄積。それは自身の思考や言動に対しても向けられる。独特のファッションセンスや行動様式の根拠を、客観視しつまびらかにしていく。

 大谷翔平の妻の奥ゆかしさに、全国民が酔いしれ発生した「茶髪で派手な服を着ていてブランド物を持つ、お金に興味がある女とは結婚しない方がいい」というタームに猛抗議。「その女は、私だからだ!!」とブチ切れし、好きな服を着て、目標を持ってブランド品を購入し、労働の対価としてよりよい報酬を求める女性こそが、自立したいい女ではないかと説く。

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