やはり確信犯だった史上初「中国軍機」領空侵犯 「防空は国家主権の象徴…」暴挙を誘発した「習近平」異例の重要演説の中身

国際 中国

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 中国人民解放軍の相次ぐ行動により、日本の安全保障体制が大きく揺らいでいる。8月26日、情報収集機「Y9」による日本の領空侵犯が発生。中国軍機による領空侵犯は初めてで、中国側は偶発的との立場を主張したが、そのわずか5日後には中国海軍の測量艦1隻が鹿児島沖の日本領海に侵入している。連続して起きた中国軍の海空による日本への挑発的な行為は意図的と言わざるを得ない。【相馬勝/ジャーナリスト】

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 中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」では先月26日、中国軍機による日本領空侵犯を伝える日本や香港のメディア報道を転載し、「報復だ」「よくやった」などと歓声を上げる投稿が相次いだ。日本の海上自衛隊護衛艦「すずつき」が7月に中国領海に一時侵入した事例があったからだ。

 中国の微博では、「すずつき」の中国領海侵入について、中国外務省が日本に抗議し再発防止を要求したのに対し、日本側は「技術的なミス」と説明し、海自艦の非を認めていたとの経緯にも触れており、今回の中国軍機の領空侵犯は日本側がもともとの原因を作ったとの見方をとっている。

 しかし、日本の海上自衛隊による領海侵入は極めて稀な事例であるのに対して、中国海軍の測量艦の日本領海侵入は去年9月以来、10回目で、潜水艦や情報収集艦も含めると今回で13回目だという。

 度重なる中国海軍の測量船の日本領海侵入は、各国の軍の艦艇は一般の船舶と同じように、沿岸国の秩序や安全を害さなければ領海を通過できる「無害通航権」が国際法で認められていることを逆手にとっての行動で、日本の主権を全く無視している行動と言えるのではないか。

偶発的な出来事

 一方、海軍艦船とは違って、中国軍機の領空侵犯は自衛隊の戦闘機がスクランブル発進しており、一歩間違えば撃墜される恐れがある危険な行為だ。それがきっかけになって、両軍が戦闘状態に陥ることも考えられるだけに極めて憂慮される事態だ。

 中国共産党ナンバー3の趙楽際・中国全国人民代表大会(全人代=国会に相当)委員長(党政治局常務委員)は領空侵犯2日後の先月28日、北京訪問中の二階俊博・日中友好議員連盟会長(衆議院議員)と会談し、中国軍機の領空侵犯について、「人民解放軍の軍用機が日本の領空に侵入する意図はなく、中日(両国)の適切なコミュニケーションを望んでいる」と述べている。要は、領空侵犯は偶発的な出来事だと主張しているのだ。

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