小泉進次郎に「石丸現象」の再現はムリ? 都知事選とは大違い「自民党総裁選」を左右する意外な要素

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 今回の自民党総裁選、下は40代から上は60代まで、幅広い年齢層の候補者が出馬する意向を示し、“乱立”気味となっている。議員票と党員票によって自民党のトップが選ばれることになるが、メディアと組んで国政選挙などの世論調査を実施している報道ベンチャー「JX通信社」代表の米重克洋氏にその展望を聞いた。

自民党員票の特徴とは

 まずは9月27日に実施される自民党総裁選の仕組みを確認しておこう。

 総裁選は国会議員の議員票(367票)と全国に約110万人いる党員票(367票)によって決まる。党員票は各都道府県連別にまとめられ、ドント方式で各候補者に分配される。1回目の投票で特定の候補者が過半数を得れば、勝負は決するが、過半数に達しなかった場合、決選投票に進む。

 決選投票は議員票に加え、各都道府県連に割り振られる都道府県連票(47票)によって勝敗を決することになる。

「候補者が乱立すると、その分議員票が各候補者に分散するため、党員票がその行方を左右することになります。一方で、決選投票になると、都道府県連票よりも議員票の方が多くなりますから、議員票が重みを持ってきます」

 と米重氏。

「党員票は一般の国政選挙と違い、特殊な票と思われがちですが、110万人もの党員がいますから、一般有権者と似たような動きをすると思います。党員は私どもの過去の調査ですと、年齢層が一般有権者の平均に比べて若干、高い程度です。すると、党員票も“次の総裁にふさわしい人”の世論調査と似たような動き方をする可能性があると思います」
 
 つまり、抜群の知名度を誇る小泉進次郎衆院議員や石破茂衆院議員に利があるということになる。また、キーになるのは“政治とカネ”の問題についてだ。

石丸伸二氏の支持層の特徴

「自民党の政党支持率が政権に復帰してから最低水準に落ち込んでいた状態が意味することは、党員も含めて、潜在的に“政治とカネ”の問題を世論が許していないということです。候補者がこのテーマに対してどう強く打ち出すことができるか。裏金議員については非公認にするなどと打ち出す候補者がいれば、SNSを含めたネット空間で一気に風が吹く展開はありえると思います」

 実は、現職の小池百合子都知事に石丸伸二氏が挑戦する格好となった7月の都知事選で、大型選挙として初めての興味深い現象が見られたと米重氏は指摘する。

「弊社の世論調査では小池百合子さんを支持している方は『候補者を支持する上で新聞を参考にしたか』という質問に対して、4割近くの方が『大いに参考にした』『ある程度参考にした』と答えています。さらに、『テレビを参考にしたか』という問いには7割を超える方が『参考にした』と答えました。これに対して石丸伸二さんの支持層では新聞を参考にした方が2割強、テレビを参考にした方が半数強と、既存メディアを参考にした割合が小池さんに比べて大きく下がるのです」

 石丸氏の支持層の特徴は、YouTubeに日常的に接していることだった。

「小池さんの支持層では投票にYouTubeを参考にしたという方は全体の1割程度。石丸さんの場合は5割近くになっています。これは際立って高い割合と言えるでしょう。これまでの大型選挙でSNSを活用してある程度の票を獲得できた候補者、例えば参院議員の山田太郎さんは表現の自由を掲げ、参院の全国比例で54万票を集めましたが、石丸さんほどの票を獲得できたことはありません。もし、新聞の発行部数が今よりも減り、スマホに日常的に接している層が増えるだろう10年後に石丸さんが都知事選に出馬していたら、当選していた可能性は大いにあります」

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