「コバホークより議員票は少ないかも」茂木幹事長の窮地 【自民党総裁選の裏側】

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首相・総裁に最も近い存在と信じて

 9月12日告示・27日投開票の自民党総裁選をめぐって、茂木敏充幹事長は9月4日に会見して出馬を表明した。これまで頼みとしていた麻生太郎副総裁からの支持を得られず、拡大を目指していた安倍派内からの支持も見込めず、2位以内に入って決選投票へ進むという展望が描けずにいる。

「茂木氏は元々、キャリアの割に国民の間での知名度が高いわけではなく、派閥のボスでありながら派閥をまとめきれず、クセのある性格から永田町での評判もいまひとつ。“茂木氏を首相・総裁候補になぞらえるのはリアリティがない”などと言われていたこともありました。それでも本人とその周辺は首相・総裁に最も近い存在だと信じて疑っていなかったですね。仕事が人一倍できて要職を歴任してきた、という自負もあったのでしょう。自信のない政治家に魅力はないですが、茂木氏は自己アピールが過剰で、そこが嫌われがちでした」

 と、政治部デスク。

 岸田文雄首相が不出馬を表明し、一気に動き出した総裁選。茂木氏としては“待ってました”の号砲が鳴ったはずだったが……。

“待ってました”の号砲

「“岸田が出るならお前は出るな”と言われていた麻生氏に真っ先に支持を求めた茂木氏でしたが、断られました。茂木派からは加藤勝信官房長官が出馬の意向を固めており、分裂状態。総裁選出馬を見越して総裁候補がおらず草刈り場になりそうな安倍派に手をつけて積極的に勧誘していたものの、今回の初動では不発に終わってしまっています」(同)

 推薦人20人さえ集められないのではないかとの意地悪な指摘もあった。

「さすがにそこまで追い込まれてはいなかったようですが、乱立状態の中で何人かが戦略的撤退をして有力な候補に参集するという作戦が持ち上がったこともあったようです」(同)

 目下、人気を二分する小泉進次郎元環境相や石破茂元幹事長のどちらかを引きはがさなければ「2位以内」は望めない。

「仮に候補2人が出馬辞退をすれば1人につき20名の推薦人を集めることができるので、数字のうえでは自らの推薦人20人と合わせて議員票60票を確保できる計算になります。小泉氏は議員票で50人は確保したとの一報が流れましたが、1人で60票を集められるなら、小泉氏や石破氏にとって大きな脅威となるでしょう」(同)

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