「1500万円の価値のボールが…」 大谷翔平の「40-40」記念ボールが公式認証されなかった事情

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システムの対象外

 メジャーリーグには試合で使われたボールやバットなどに関して、これらを本物の記念品だと認証するシステムがある。

 アメリカを拠点に活動するスポーツライターの谷口輝世子氏によれば、

「現在、メジャーには200名以上の認証者が存在しており、すべての試合に数名が立ち会っています。認証者たちは、例えばボールであれば、軌道をきちんと目視した上でボールボーイから受け取るなどして、間違いなくそこで使われたものであると断定できた場合、リーグ公認の試合球として認証するのです」

 もっとも、観客席に入ったホームランボールについては、この認証システムの対象外になるとのこと。

「なぜなら、離れた場所からどれだけよく見ていたところで、偽物とすり替えられていないかどうかを毎回確認することは困難だからです」(同)

「ボールを求めて出張るほどではなかった」

 だが、今年4月に大谷がドジャースで“移籍第1号”のホームランを打った際のボールは、球団がキャッチした観客に記念品との交換を要求し、自らの手中に収めた。結果、ホームランボールは公式に記念球として認証された。

 前出の友成氏に聞くと、

「あくまで大谷の“移籍第1号”のような例が特別で、この時はメジャーリーグとしてではなく、ドジャースが独自の判断で観客にホームランボールの譲渡を要求しています。一方で今回の『40本塁打・40盗塁』は、素晴らしい記録ではありましたが、球団がボールを求めて出張るほどではなかったのでしょう。普段のホームランボールと同じで、認証しませんが自由に持ち帰ってください、ということだったのでは」

 仮に今回のボールが認証された後、オークションに出されたとしたら、10万ドル(約1444万円)の値は付いたとみられる。持ち主は最高の思い出になったろうが、同時に、悔しさも込み上げているだろう。

週刊新潮 2024年9月5日号掲載

ワイド特集「令和の大騒動」より

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