描いたのは“新しい家族の在り方”だけじゃない 理想論で終わらせなかったから素晴らしい「海のはじまり」

  • ブックマーク

 2歳の時に生き別れたカメルーン人の父、分かるのは名前程度。詳細を聞こうにも、日本人の母は認知症。武内剛監督が父親捜しの旅に出るドキュメンタリー映画「パドレ・プロジェクト」を観た。あまりに無謀な旅だが、予想外の展開で、寛容で豊かな家族観を教えてくれたような気もする。

 ここ数年のドラマや映画では疑似家族や契約家族など、解釈を広げた家族観が描かれてきた。新しいと思ったのが「海のはじまり」だ。

 主人公の月岡夏(目黒蓮)は、大学時代の恋人・南雲水季(古川琴音)の訃報を受けて葬儀に参列。...

記事全文を読む