「“二号さん”でもいいと言われ…」28歳年下のバイト女子を囲うアラフィフ夫 「もうじき身を引く」という発言の真偽はいかに

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「僕は身を退くつもり」

 だがあるとき、ついに彼は陥落した。彼女がアルバイトをやめて風俗に勤めると言ったからだ。「1度でいい。そうすれば私はあなたの恋人なんだと思えるから助けてもらえる」という彼女の言葉に負けた。

 でも男って弱いですよねと彼は苦笑した。1度でいいはずの関係だったのに、彼から継続を求めてしまったのだ。恋とは違うかもしれないが、彼女のことが気になってたまらなくなった。そう言うと、佑香さんは弾けるような笑顔を見せた。

「でも、ふたりきりで会うのは月に1度です。こういう関係で彼女の人生を縛る気はないから、ここ1年、彼女には身を入れて仕事をするよう頼んできました。もうじき正社員になれるはず。学歴なんて関係ない。彼女、ほんとうによく働くし接客のプロとして評判もいい。彼女が正社員になったら、僕は身を退くつもりです。言葉にはしないけど彼女もわかっていると思う。正社員になったときが別れのときだと」

 別れるには、それがいちばんいいタイミングだと彼は言った。家庭にバレないよう、秘めやかに育てた関係はきれいに終わらせたい。最後まで緊張感をもって、彼女を巣立たせたいと彼は落ち着いた口調で言った。

 やむを得ず不倫関係になったが、常に別れどきを探していたのかもしれない。最後に彼は、小さく「ほんとうは身を斬られる思い。せつないです」と言った。どんなにせつなくても、大人には正しい決断をしなければいけないときがある。そして、それは彼の言うとおり、今なのだろう。

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「自分と佑香さんを重ねてしまった」と語った孝紀さん。その複雑な家庭環境は【前編】で紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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