「“二号さん”でもいいと言われ…」28歳年下のバイト女子を囲うアラフィフ夫 「もうじき身を引く」という発言の真偽はいかに

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突然、アルバイトの女性が倒れて…

 その娘が高校生になったころだ。孝紀さんが22歳の佑香さんと出会ったのは。彼女は孝紀さんが管轄していた店のアルバイトだった。ある日、たまたまその店に顔を出していた彼の目の前で、彼女は倒れた。

「すぐに救急車を呼んで病院に搬送して。家族がいないというので僕が付き添いました。貧血に栄養不良と、体はボロボロになっていたようです」

 佑香さんは子どものころ親が離婚し、母親とふたり暮らしだった。あるときから、母のもとへ男が通ってくるようになった。「おとうさん」と呼ぶよう母に命じられたが、母は再婚したわけではなかったようだ。その男が、母の目を盗んでは佑香さんの体に触れた。嫌がると殴られた。母も知っているはずなのに見て見ぬふりをしたという。

 そんな状態に耐えかねて高校を中退、家出して上京、以来、水商売や風俗でしのいできたらしい。孝紀さんはそんな身の上話を聞いて、母に蒸発された経験や、知らないうちに父に新しい女性がいたときのことなどを思い出した。ショックだと思っていなかったが、実はショックだと思わないように決めて生きてきたのだと、佑香さんに接して初めてわかった。

「彼女は働ける状態ではなかったから、住んでいるアパートの家賃はしばらく僕が払う、生活費もあげる。だからとにかくちゃんとした生活をして体調を調えてほしい。治ったらまたアルバイトとして働いてもらいたいと彼女に告げました。どうしても放っておけなかったんです」

「二号さんでもいい」

 ちょうどそのころ、父が亡くなり、数百万という微々たるものではあったが遺産が入った。娘のために半分は貯金したが、あとの半分はなかったものとして佑香さんに使ってもいいのではないかと彼は思ったのだという。

「自分と彼女を重ねてしまったんでしょうね。しかも僕は彼女の親くらいの年齢だから親心も加わった。ときおり彼女のところに行って、一緒に買い物に行って料理をしたりもしました。数ヶ月すると彼女は徐々に元気になっていった。そして『お礼をさせて』と抱きついてきたんです。僕はそんな気はないと説得しました。娘のようなきみを放っておけなかったんだ、と」

 彼女は、「私はあなたのことを本気で好きなのに」と泣いた。若い女性の気持ちを弄ぶようなことになってはいけないと彼は悩んだ。

「半年ほどたって、彼女はアルバイトに復帰しました。週に4回ほどにして、経済的に足りない分は援助を続けた。彼女は申し訳ないから、とお金を返してきたんです。もらう理由がない、と。私を恋人にして、二号さんでもいいと彼女は言いました。二号さんなんて古い言葉を知ってるんだと言うと、『あるとき、母の男の正妻が訪ねてきて、二号のくせにと言っているのを聞いた』そうです。それでも僕は彼女と関係をもとうとは思わなかった」

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