「ビルから人が落ちてきた」「何も着ていない女性も」「内部温度は700度に」 44人が死亡した「歌舞伎町ビル火災」地獄の現場

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ビル内は700度にも

 この時点で、ビル内の温度は400度から700度にまで達している。すでに蒸し焼き同然だった。一方で到着した2台のはしご車による屋上から4階への進入も図られた。

 救助に当たった隊員が言う。

「こちらは3階に比べると入り口付近から奥にかけてフロア全体に倒れていました。従業員や女の子は通りに面した更衣室側に窓があるのを知っていたためなのか、頭をそちらに向けた人も多かった」

 中には衣服を身にまとっていない被害者もいた。一見するとストッキングや靴下だけをはいているようだが、それは表皮が焼けただれたものだった。

「被害者の大部分は、真っ黒というよりも、体の表皮が焼け落ち、ピンク色の肌が見えていた。これはどの火災現場でもそうですが、煙を吸って一酸化炭素中毒で亡くなる人は皆、ツルツルでツヤのあるマネキン人形のようになるのです。もっとも、搬出は小柄な女性でも、ぐったりして普段の体重よりも1.5倍は重く感じるため、困難を極めました」(救助隊員)

 火災発生から現場で取材を続けたジャーナリストが言う。

「何も着ていない女性、髪が溶け、黒焦げでネクタイだけ残った男性など次々にはしご車で降ろされてきましたが、誰一人ピクリともせず、全員死んでいることは明白でした。マスコミ関係者に断続的に行われた心肺停止者の発表も当初8人だったのが17人となり、25人、33人と増えていく毎にどよめきが上がりました」

 最終的に44人の犠牲者を出し、午前6時44分鎮火。救出活動は5時間半に及んだ。

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 のちにこのビルの防災体制には不備が数々あったことが判明している。それらが犠牲者を増やした可能性は極めて高い。ビルのオーナーらは管理責任を問われて有罪判決を受けている。しかし、もともとの原因となった放火犯は不明なままである。

 歌舞伎町はいまなお多くの人を引きつける繁華街だが、店や人が密集していることにはリスクがあるというのも忘れてはなるまい。

デイリー新潮編集部

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