夏の甲子園の“猛暑対策” 「朝夕二部制」導入に現場の声は? 一部の観客から「時間つぶしに金がかかる」と不満も

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 8月7日から23日まで行われた第106回全国高校野球選手権は、京都国際の初優勝で幕を閉じた。プレーの面は、今年から“低反発バット”が導入され、ホームランや長打の減少が話題となったが、大会の運営面では、今年に限らず、猛暑への対策が大きな議論を呼んでいる。今年は、大会初日から第3日まで「午前の部」と「夕方の部」に分けて試合を行う「朝夕二部制」が試験的に導入された。【西尾典文/野球ライター】

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新たな試みに当事者の反応は――?

 大会中、選手や指導者に「二部制」について話を向けると、概ね否定的な意見は聞かれなかった。高校球児が慣れていないため、懸念されていたナイターへの対応だが、甲子園の大観衆や独特の雰囲気に比べれば、それほど気にならないという声が多かった。

「二部制」に対する肯定的な意見は、開始時間が定まる試合が増えることである。今大会に出場した中京大中京の高橋源一郎監督は、こう話してくれた。

「午後からの第3試合、第4試合になると、前の試合の展開によって開始時間が遅れることが多いです。当初の予定時間に始まるつもりで球場に向かい、室内練習場で準備していても、なかなか試合が始まらないこともよくあります。うちは今回、2試合とも第1試合でしたが、第1試合が一番準備としてはやりやすいですね。『二部制』で間ができて、夕方の試合でも開始時間がずれないところは、ありがたいことですね」

 一昨年、東北勢初優勝を達成した仙台育英は、その大会は全て第1試合であり、チームを指揮する須江航監督は「スーパーラッキーでした」と語っていた。準備しやすい時間の試合が増えることで、選手が本来持っている力を発揮しやすくなることは間違いないだろう。

 須江監督は今大会、テレビ中継の解説者で甲子園に来場していた。大会後に話を聞くと、「二部制」の導入については「どんどん新しいことをトライして、試していくのは良いことだと思います」と話していた。

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