「60歳までは仕事がある人生を送りたい」…フリーのネット編集者が会議で“何もしない人”を見て思うこと

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ワシは活躍している!

 私は幸いにも仕事は少なからずあったため、とりあえず収入を維持できて生きているが、60~70代の人々と会うと正直羨ましく思う。「あぁ、あなた達はその年まできちんとお金を稼ぐことができたのですね」と。

 これを後ろ向きな考え方、と考えるのは構わない。が、正直収入が激減する人生、職場で自分の居場所がなくなる人生、って辛くないか? 60歳を過ぎれば、これから解放されるのである。だからこそ私はさっさと60代になりたい。そして、その後さっさと死にたい。

 結局人生ってものは楽しいことはあれど、苦難の連続なのだ。社会人生活としては、20~30代は希望に溢れているが、その後は各人の能力と運が大きく影響し、「成功」「失敗」が明確になってくる。

 私自身は成功か失敗かはよく分からないが、正直フリーランスの立場上、不安ばかりが先走る妙な人生を送っている。このまま落雷で死んだ方がいいのでは、なんて思うことも多々ある。

 そんな考えだからこそ、とりあえず51歳を迎えられたことに安堵している。あと9年間、ずっと不安に苛まれながら生きていくのだろう。60歳になったら「まぁ、オレも社会人生活37年間頑張ったからなガハハハ」とようやく思えることだろう。だからさっさと無風で60歳を迎えたいと考えるのである。

 この考えにサラリーマン諸氏は同感できるだろうか? フェイスブックを見ていると、50代の方々が「ワシは今も活躍している!」と虚勢を張っている投稿をよく見かける。これがなんとも痛々しいのだ。あなた方はもう頑張った。あとは60歳まで穏やかに仕事人生活を送ればいいのではなかろうか。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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