茂木幹事長の「70票は確保」発言の真意は? 林芳正陣営は「1回目の突破は諦めている」 総裁選の「ウラのウラ」を徹底分析

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「はなから1回目の突破は諦めている」

 林芳正官房長官(63)に直接取材すると、

「官房長官ですから、危機管理(の仕事)がある。台風が来るという情報もあり、私の場合はそういうものも見ながら出馬の判断をすることになります」

 だが、林氏の脅威は台風だけではない。

 林陣営の関係者が言う。

「はなから1回目の突破は諦めています。唯一の不安は、同じ旧岸田派の上川(陽子外相・71)さんが出馬できた場合。岸田文雄総理は今回、旧自派閥は自主投票とする腹積もりなので、うちと上川陣営では議員票でさして差がつかない。とすると、党員にある程度人気がある上川さんに1回目で負けてしまう恐れがある。それだけはカッコがつかないので避けたいのです」

「安倍さんと共通の国家観・歴史観を持っている人は……」

 とはいえその上川氏、推薦人集めには少々苦労している。氏の支援を決めた山東昭子前参議院議長は、

「初の女性総理というのは夢があるし、自民党を変えるだけではなく、日本を変えるという大きな意味があると思います」

 さらに、

「(参議院議員の)今井絵理子さんも障害者のための政策で一緒に仕事をしており、上川さんを応援したいということです」

 上川陣営は女性議員の力を結集しようとしているのだが、同じ女性でも高市早苗経済安保相(63)の陣営は大きく支持層が異なる。高市氏を支援する、西田昌司参議院議員は、

「今の候補者の中で、安倍(晋三)さんと共通の国家観・歴史観を持っている人は高市さんしかいない」

 と言い、保守の団結を訴えるのである。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう喝破する。

「今、自民党議員の間では“刷新感”という言葉がはやっています。感じさえ出せればいいわけです。新総裁で表紙を変えても、実際に中身を刷新できるかというと甚だ怪しいですよ」

 群雄割拠とはほど遠い乱戦の末に生まれる“統一王朝”に果たして何が期待できようか――。

 前編【「言わなくてもいいこと言うとかさ…」 石破茂元幹事長が自ら分析 過去の総裁選で「議員票を集められなかった理由」】では、すでに出馬を表明した候補者のうち、小泉進次郎元環境相、小林鷹之前経済安全保障担当相、石破茂元幹事長らを巡る党内の力学について報じている。

週刊新潮 2024年9月5日号掲載

特集「森喜朗元首相の露骨なコバホークいじめ 茂木幹事長は眉ツバ発言 派閥溶解で秩序崩壊 自民党総裁選の呆れた舞台裏」より

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