なぜ新聞テレビは小泉進次郎氏の「本命」報道を量産するのか…識者が明かす「いまの総裁選報道は競馬の予想と同じ」「政治部記者は永田町の住民」

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 自民党総裁選による“メディアジャック”が激しくなる一方だ。8月26日にはデジタル相の河野太郎氏(61)が出馬を正式表明、多くのメディアが争うように詳報した。このようにして大量に垂れ流される総裁選の関連報道で、かなりの記事が元環境相の小泉進次郎氏(43)を本命視している。これに首を傾げる人も多いのではないだろうか。

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 何しろ“本命”という表現では飽き足らないのか“大本命”と書いたメディアさえある。確かに世論調査で小泉氏の人気はトップクラスだ。日本経済新聞とテレビ東京が21日と22日に行った調査では23%でトップ。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が24日と25日に行った調査でも22・4%でトップだった。

 だが、ネット上で小泉氏の評価は極めて低い。Xからいくつかをご紹介する。

《こんな人が総裁になったら日本は終わります。グローバリストのお坊っちゃまです》、《中身が無くて何が言いたいのか、サッパリわからないんですよね》、《知識も行動力も無く、常に薄っぺら、意味不明な発言であっても、自民党の国会議員、総裁としては的確なのか?》──という具合だ。(註:改行や句読点などを補った)

 朝日、読売、毎日、産経、NHK、そして民放キー局……大手メディアの総裁選に関する報道を見ていると、普通の国民が考えていること、感じていることとの乖離を感じる。その中で最も大きな違和感を覚えるのが、小泉氏の本命報道なのだろう。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏は「基本的に大手新聞社とテレビ局の政治部記者は、永田町の住民と言っていい存在なのです」と言う。

政治部記者は大騒ぎ

「永田町の住民ですから、政治部記者は永田町の内部情報だけしか取材しません。『政治家の誰が誰に何を言ったのか』というニュースを追いかけます。この時点で世間一般の物の見方とはズレが生じても当然でしょう。さらに今回の総裁選は複数のメディアが『前首相の菅義偉氏が小泉氏を支援へ』と報じたことも、小泉さんが本命という根拠の一つになっているのでしょう。また自民党の若手、中堅議員を取材すれば、『自分たちが選挙に勝つためには、見栄えのいい小泉さんが総理総裁となって総選挙を戦うのが最も都合がいい』という話を、いくらでもしてくれるはずです」(同・伊藤氏)

 取材結果を元に政治部は記事を作成し、それを読んだ有権者の関心は小泉氏に向く。すると別のメディアが世論調査を実施し、「自民党総裁にふさわしい政治家」を質問する。結果、多くの人は小泉氏の名前を挙げてしまう──。

「これでは、一種のマッチポンプと批判されても仕方ないでしょう。新聞・テレビの政治部が、どれほど永田町という閉ざされた世界から情報を発信しているのかを如実に示していると思います。そして政治部の記者は“選挙と人事が大好き”ということも大きな影響を与えています。自民党総裁選はその両方が密接に絡みあいますから、彼らにとっては理想的な取材対象なのです。記者は総裁選で大騒ぎする傾向が強く、どうしても報道は過熱してしまいます」(同・伊藤氏)

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