なぜか「東京都」だけが槍玉に…「総務省出身」知事が暗躍する全国知事会の裏事情 “一極集中”批判に「小池都知事」外しも
〈どうにでもコントロールできる〉
全国知事会に尋ねると、
「案は事務局で作成しましたが、事前に(各自治体に)資料はお渡しし、知事会議にかけて同意を得ております。そのため、文言の調整はありませんでした」
なぜ知事会は東京都を目の敵にするのか、その背後でうごめいているのが“総務省出身知事”たちである。
実はいま全国の知事のうち、総務省出身者は11名を数える。
昨年まで全国知事会長を務めていた鳥取県の平井伸治知事、今回の知事会の開催県である福井県の杉本達治知事や島根県の丸山達也知事らがそうである。ちなみに、パワハラ問題で揺れる兵庫県の斎藤元彦知事も総務省出身である。
「こうした知事たちの狙いは税源の偏在是正です。偏在是正とは東京など大都市に集中する税の一部を国が“収奪”して、地方に分配する措置のこと。08年度から始まった偏在是正は近年、拡大しつつあります。総務省からすれば、都の体力を奪って地方への影響力を強めることができるし、総務省出身知事たちにとっては労せずに財源を獲得できます。しかし、それでは税収を上げるための努力を地方がしなくなるため、地方の発展を阻害するとの指摘も出ています」(先の永田町関係者)
「週刊新潮」は昨年「『総理はどうせ知らない』『知事会はコントロールできる』 政府内部文書が示す総務省・新次官の本性とは?」という記事内で当の総務省は偏在是正の効果が薄いと認識しながら、強引に進めようとしている旨を報じた。
また、その取材の過程で総務省の内藤尚志事務次官(当時)が
〈平井知事は自分の同期だから知事会はどうにでもコントロールできる〉
との発言録が載る総務省の内部資料も入手し、記事に収録した。この発言から読み取るに、まるで総務省が全国知事会を傘下に置いているがごときである。
総務省出身知事たちのシナリオ
「今回の知事会でことさらに『東京一極集中』が強調され、福井宣言などの文書に文言が落とし込まれたのは、新政権で税の偏在是正の推進を狙う総務省出身知事たちのシナリオだと言われています。その背後には、全国知事会をコントロールし、都合の良い道具にしている総務省の存在が見え隠れします」(同)
東京への一極集中ばかりを問題視して、大都市の税を吸い上げて地方に配るだけ。それではさらに地方が衰退することになりかねないというのだ。