なぜか「東京都」だけが槍玉に…「総務省出身」知事が暗躍する全国知事会の裏事情 “一極集中”批判に「小池都知事」外しも

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全国知事会の軋轢

 永田町では自民党総裁選の話題で持ち切りだが、自治体の長たる知事たちもこの夏、熾烈な戦いを繰り広げていた。

「8月1日から2日間、福井市で全国知事会が行われたのですが……」

 とは社会部デスク。全国知事会は毎夏、都道府県の持ち回りで開かれており今年は福井県福井市で行われた。今回、話題になったのは知事会に「人口戦略対策本部」が設置されたことだ。

「全国的に人口減が進む中で、知事たちが一致結束して国レベルでの対策を促すために、本部が設置されました。しかし、本部を設置する旨の提言の取りまとめで知事間の軋轢が鮮明になってしまいました」(同)

 その提言とは「人口減少問題打破により日本と地域の未来をひらく緊急宣言」のこと。

 宣言文を読むとこういうくだりがある。

〈人口減少問題について、国は過去10年間、「地方創生」等の中で進めてきたが、個別の施策では成果が上がったものの、マクロレベルでは成果が出ていない。これは、特定の地域への人口集中や、子育てに係る経済的・時間的な負担、さらに、大規模災害リスクの観点も踏まえ、解決困難な構造的課題に対して、国全体で集中して施策を投入できていなかったためである〉

〈現下の人口減少の構造を改めていくためには、(1)人口や産業が特定の地域に集中している現状を見過ごすことなく(以下略)〉

『丸ごと落とせ』

 名指しこそしていないものの、この“特定の地域”が東京都のことを指すことは関係者の間で知られていた。要は東京都に人口が集中しているせいで全国的な人口減少が起きていると言わんばかりなのだ。

 これに東京都の小池百合子知事が「賛同しかねる」として、削除を要望した。ところが、島根県の丸山達也知事は、

「『丸ごと落とせ』というふうなご提案があるのであれば、『東京一極集中』ということを明確に書いて、記載するかどうかということを俎上に上げて考えるべきだ」

 と猛反発。

 結局、東京都が問題視した文言は削除されることなく、都の意見が緊急宣言の文末に追記されるにとどまった。

「客観的に見ても、東京に産業や人口が集中していることと全国的な人口減少はフェーズが違う話なので、結びつけるべきではありません。それが認められなかったということは明らかな知事会による『東京都』『小池百合子』外しでした」(前出・社会部デスク )

 さらに、この提言とは別に今回の全国知事会の議論の成果をまとめたとする「福井宣言」でも問題が起きていたという。

 永田町関係者が囁く。

「『令和6年7月全国知事会議 福井宣言』には、『今年10年の節目となる地方創生は、今、まさに正念場を迎えており、人口減少や東京一極集中という課題に対応するため、地方においては、自ら率先した取組みを積極的に展開していく。』という文言があります。こういった宣言文は開催県などで調整され、都道府県などへの照会は行わないのが通例とはいえ、今回は『緊急宣言』の事前調整の段階から一極集中については議論があったことから、情報共有や文言調整の相談はするのが一般的な対応です。東京都は再三、都への一極集中と人口減少を関連付けるべきではないと主張しているのに、この宣言文の中身について都への調整はなされず、福井県、知事会会長、総合戦略特別委員会という限られたメンバーのみで作成されています」

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