「普通の裁判官とは違うんですよ」 “減額分の給料を払え”と国を訴えた61歳裁判官の素性とは

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「裁判官だけの問題ではない」

 とはいえ、裁判官は高給取りで知られる。竹内判事も大阪や名古屋で勤務していた頃は、年収が1800万円以上だったとみられる。それが幾分か下がったと訴えたとて、世論の支持は得られないのではないか。

「これは裁判官だけの問題ではありません。他の国家公務員についても同様に、勤務地により報酬が異なる現状は、憲法14条で定められた法の下の平等に反していると考えられます」

 さらには、

「国家公務員の給料が地方にいくほど低く抑えられていることの影響で、地方公務員の給料も地域ごとに格差が出ている。ひいてはこの連鎖が、地方の民間企業の給料や最低賃金にまで続いているとみることができるのです。私の訴訟を労働者全体の問題を考える一つの契機にしてほしい」

「普通の裁判官とは違うんですよ、感覚が」

 要するに、これは個人の訴訟の形を取りながら、最終的には政策の形成を目指すいわゆる“公共訴訟”の類なのだとか。

 それにしても、現職裁判官の立場で国を訴えることにちゅうちょはなかったのか。

「私は弁護士時代、自治体を訴えまくっていましたから、怖いという気持ちはありません。普通の裁判官とは違うんですよ、感覚が。今のところ嫌がらせもなく、むしろ仲間たちはおおむね“もっとやれ”と応援してくれる。転勤や持ち出しが多い裁判官は決して待遇が良いとはいえず、優秀な人材が弁護士事務所に流れてしまいがちだからです」

 訴訟が長丁場になるのは覚悟の上で、最高裁まで争った時には全裁判官が今とは入れ替わっている可能性が高いという。ご本人は、勝訴の可能性がなきにしもあらずと仰るが、さて――。

週刊新潮 2024年8月29日号掲載

ワイド特集「天変地異」より

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