海外大物ミュージシャンの“親日伝説” ブルーノ・マーズ「ドンキ」CMに連なる「日本にハマる」パターンとは

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 あのブルーノ・マーズがディスカウントストア「ドン・キホーテ」のCMに出演! というニュースは大きな反響を呼んだ。日本好きであることは有名だったが、そこまでやるか、と感じた方もいることだろう。

 しかし、これまでも振り返れば「親日」とされるミュージシャンは多くいた。ミュージシャンたちにとって強い魅力を持つ「メイドインジャパン」商品があるのも、その大きな要因のようだ。音楽ライターの神舘和典氏が「ミュージシャンたちの日本愛」の実像をレポートする。

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ドンキイクヨ

 目を疑った人もいたのではないだろうか。

「ドンキイクヨ」

 そう言って、コンピュータ打ち込みのサウンドに合わせてステップを踏むのはブルーノ・マーズ。ファーハット、サングラス、パールっぽいネックレス、白Tシャツ、スカジャン、カーゴパンツ、スニーカーというファッション。ドン・キホーテ渋谷本店フロアをダンス・スタジオにして、同じテイストの女性ダンサーを4人引き連れて踊りまくり、買い物しまくる。ドン・キホーテのロゴ入りの服を着ているカットまである。

 グラミー賞からビルボード・ミュージック・アワードまで総なめにしてきたビッグ・ネームが、極東の量販店チェーンのCMでここまでやるとは。びっくりだ。

 日本企業のCMに出演した大物外国人ミュージシャンは今までにもいた。

 宝焼酎「純」のデヴィッド・ボウイ、ソニー「キララバッソ(テレビ)」のマイケル・ジャクソン、ホンダ「アスコット」のエリック・クラプトン、サントリー「ホワイト」のレイ・チャールズ、三菱「三菱ビデオHi-Fi VIDEO」のマドンナ、大塚ベバリッジ「NESCAFE サンタマルタコーヒー」のマライア・キャリー、英会話イーオンのセリーヌ・ディオン……。

 たいがいは洗練を感じるおしゃれなCM。よくぞここまでやってくれたと感じるのは、明石家さんまと共演しているマライア、「私は15歳までフランス語しか話せなかったんです」と語るセリーヌくらいだが、今回のブルーノはそれに匹敵するインパクトだ。

 クライアントへの信頼や愛情があり、かつ親日家でなければ実現しなかったのではないか。

盆栽も柔道も

 1970年代あたりからずっと、ロック・シーン、ジャズ・シーンには親日家とされるミュージシャンが少なくない。クイーンはヒットする前から応援していた日本のリスナーに向け、「手をとりあって」のサビを日本語でレコーディングした。スティングのいるポリスは、湯川れい子が歌詞を書いた日本語バージョンの「ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ」をリリースした。

 アーティストたちが親日になる理由にはいくつかのタイプがある。

 まず、文化やカルチャーに興味を持つケース。生前のジョン・レノンが妻、オノ・ヨーコとともに軽井沢に滞在していたことはよく知られているが、ジョンは東京・世田谷区の道場に柔道を学びに行ったこともある。

『エリック・クラプトン自伝』(エリック・クラプトン著。中江昌彦訳、イーストプレス刊)にはファッション・プロデューサー、藤原ヒロシとの交流が度々語られている。クラプトンはビジュアルについて藤原に頻繁に意見を求め、彼のデザインした服を身に付け、ロバート・ジョンソンの映画を撮ることを勧めている。

 意外なのはモトリー・クルーのドラマー、トミー・リー。激しいパフォーマンスで知られるが、ステージを降りると日本のわびさびに興味があるらしい。盆栽愛好家として、来日公演の際には前ノリして高名な盆栽作家のもとを訪れている。庭の緑を愛で、日本食を食べる姿をフェイスブックにアップしている。

 ブルーノ・マーズもキティちゃんなど日本文化好きを公言している一人である。

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