「松山英樹」が盗難被害、臨時キャディと優勝、腰痛で棄権…五輪銅メダル後の“アップダウン”を乗り越え年間王者に輝けるか

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第2戦を棄権…ランキング3位は変わらず

 パリ五輪に続いてプレーオフ第1戦でも喜びの笑顔を輝かせた松山は、翌週、トップ50名のみが出場できるプレーオフ第2戦のBMW選手権(米コロラド州デンバー、キャッスルパインズGC)に、ランク3位の選手として楽々進出した。

 緊急帰国した早藤キャディには、ビザとパスポートが実にスピーディーに再発行され、第2戦からは「慣れたいつものコンビ」で戦える体制が整った。そのおかげもあったのだろう。初日から単独2位の好発進を切り、2週連続優勝も大いにありえるという期待が高まっていた。

 だが、2日目の朝、事態は急変した。松山は腰痛悪化により、スタート前に棄権を宣言。試合会場から姿を消してしまったのだ。

 日本のファンの間からは、この棄権によって、松山の「ランキングはどうなるのか?」「ツアー選手権には出場できるのか?」と心配する声も上がった。

 結論から言えば、ランキングは3位のまま変わらず、ツアー選手権出場にも、もちろん問題はない。ただ、せっかく2位で好発進したBMW選手権での優勝や上位フィニッシュのチャンスと、それで得られたかもしれない賞金やポイントは、棄権したがためにゼロになってしまった。

 しかし、ここで無理をしたことで、肝心のツアー選手権で戦えなくなってしまう方がダメージは大きい。そして何より、腰の故障を今以上に悪化させた結果、受けるダメージは果てしない。

 それらを考え併せれば、第2戦の棄権は、やむを得ない決断であり、唯一最善の選択だったと言えるだろう。

年間王者のボーナスは約36億円超

 ところで、「プレーオフ第1戦」「プレーオフ第2戦」あるいは「肝心の最終戦」などと言われても、「どんなシステムで何を意味しているのかよくわからない」という方も多いのではないだろうか。

 PGAツアーは8月に「レギュラーシーズン」が終了すると、そこから先は「フェデックスカップ・ランキング」と呼ばれるポイントランキングの上位選手だけが進出できる「プレーオフ・シリーズ」に突入する。

 プレーオフ・シリーズは3試合にわたって行われ、第1戦のフェデックス・セントジュード選手権にはポイントランキングの上位70名。第2戦のBMW選手権には上位50名、最終戦のツアー選手権には上位30名だけが出場する。

 最終戦はランキングにしたがって、あらかじめスコアに差をつけて初日をスタートする「スタッガード方式」となる。ランク1位の選手は10アンダーから、2位は8アンダーから、3位は7アンダーから、ランク26位から30位の最下位グループはイーブンパーから初日を戦い始める。

 4日間72ホールを終えたとき、勝者に輝いた選手がPGAツアーの年間王者に輝き、破格のボーナス2500万ドル(約36億円超)を手にすることになる。

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