「不倫関係になるのが嫌なんだ…」46歳夫がおくる充実の「セカンドパートナー」生活は人類愛か、単なる気の迷いか

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「恋だと認識したら、終わりが見える」

 1年がかりの仕事は昨年の秋前に終わり、以降、奏子さんと会うのはその仕事に関わる通常業務の際、月に1回程度になった。急に寂しくなった寿登さんは、時間があったらランチでもと再び誘ってみた。

「彼女は『急に寂しくなったなと思っていました』と返事をくれた。同じ気持ちだったんだなと思いました」

 それ以来、週に1度くらいはランチをしたりお茶をしたりと、たびたび会うようになった。てっきり独身だと思い込んでいたが、奏子さんは既婚で一児の母でもあった。

「母親が同居しているため、思い切り仕事ができると言っていました。夫は体が弱くて、非正規の仕事しかできない。だから私が働かないといけないんですって。ただ、夫は非常に優しい人らしい。お互いに家庭の話などもチラチラとしつつ、心の内を探り合う日々が続きました」

 ただ、ふたりとも積極的には出ない。そのうち友情とも恋愛感情ともつかない「優しい思い」がふたりの間に行き交うようになった。彼女が社内の人間関係について相談してくることもあった。

「僕は彼女のことを心から愛していると言えるほど好きなんですが、それが恋愛感情とうまく結びつかないんです。今思えば、おそらく恋だと認識したら、終わりが見えるような気がしたからだと思う」

一見、友人のようなやりとりも「会えば生々しい話はしますよ」

 今年になって、奏子さんが「私たちってどういう関係なんでしょうね」と言いだした。どういう関係でもいいし、あえて名前をつけなくてもいいけれど、寿登さんが大事な人であることは確かなんですと、奏子さんははっきりと言った。

「ああ、彼女もどこかモヤモヤしていたんだなとわかりました。だから僕も、『あなたのことを本当に大事な人だと思っているし、すごく好きなんだけど、下手な不倫関係になるのが嫌なんだ』と言ったんです。奏子はパッと顔を輝かせて、私もなんですって言ってくれた。こういうのをセカンドパートナーっていうのかなと言ったら、そうかもねって。それとなく敬語を交えていた会話が、ほぼタメ口に変わった夜でした」

 毎日のように連絡を取り合ってはいるが、文面はふたりを知らない人が読んだら、ただの友人か知人としか思わないようなものだ。実際にやりとりを見せてもらったが、仕事関係のやりとりの合間に、「今度、~~という珈琲専門店に行きませんか。自家焙煎でおいしいらしいです」「おお、いいですね」などという友人同士としか思えない会話がはさまっているような状態だった。

「実際に会うと、もう少し生々しい会話はしますよ。性的なことにまつわる話もしますし。彼女は夫が病弱だし、彼女自身も性的な欲望が強いわけではないそう。僕は普通だと思うけど、家庭ではもういいやという感じ。史乃とは寝室も別ですし。ただ、愛情とセックスは別の発露をするものでしょ。夫婦には夫婦の愛情があって、僕と奏子との間にもふたりにしか作れない関係がある。気持ちと性が一致する必要もない。僕らはある意味で、人生のパートナーではあるよねと」

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