「不倫関係になるのが嫌なんだ…」46歳夫がおくる充実の「セカンドパートナー」生活は人類愛か、単なる気の迷いか

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【前後編の後編/前編を読む】妻を絶賛しながら…年下女性に肉体関係ナシの「濃厚な愛情」 46歳夫が“セカンドパートナー”と出会うまで

 地方の教育関係の一家に育った宇田川寿登さん(46歳・仮名=以下同)は、世間体ばかりを気にする実家に息苦しさを感じ、中学生の頃から東京の伯母夫婦のもとで暮らした。「養子になってもいいかな」と思える充実した環境に恵まれたものの、うつを患っていた父が自死する悲劇が起きる。その後、就職し、同い年の史乃さんと結婚。娘と息子に恵まれる盤石の家庭を築いたが、じつは寿登さんには、2年近い付き合いになる「セカンドパートナー」がいるという。

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 それが奏子さん(36歳)だ。寿登さんの勤務先と取り引きのある会社の担当者が代わって、奏子さんになったことが出会いのきっかけだった。普通なら仕事で続いていくだけの関係だ。ところが寿登さんの所属部署が、大きなプロジェクトを抱えることになり、パートナー的な役割を果たすのが奏子さんの勤務先だった。他の会社からもスタッフが参加したが、現場の中心は寿登さんと奏子さんになっていった。

「うちの部長と奏子と僕はよくオンラインで会議をしました。話が煮詰まるにつれ、会う頻度も多くなり、奏子のところの上司や同僚たちも含めて、よくミーティングしましたね。イベントなどとは違って、製品を一緒に作っていく話なので、今後もずっと協力しあう関係だと聞かされていました。いかに円満に、でもいかにいいものを作るかが重要。ただ、奏子の最初の印象はよくなかったんですよ」

 奏子さんは若手のホープとして、社内外で知られた存在だった。もちろん挨拶は丁寧だったし、いかにも仕事ができるタイプに見え、話し方も明瞭で論理的だった。ただ、感情を意図的に排除しているように見えて「苦手だな」と思ったのだそうだ。

「たとえ仕事の会議でも、ちょっとしたところで人間性が出るでしょう。奏子はそれをあえて殺して事務的に論理的に合理的に話を進めていく。細かい部分での意見交換も緻密にやろうとする。もちろんビジネスだからいいんですけどね、あまりの隙のなさに、うちの上司も『協力関係にあるはずなのに、全部、向こうに持っていかれそうだな』と不安がっていたほどでした」

距離を縮めたきっかけは

 ただでさえ、「できる女」は嫌われるのかもしれない。特に男性社会においては。寿登さん自身も、奏子さんが女性だからこそ、ああいう態度に不信感を抱いてしまうのだと気づいていた。男だったらいくらでもいるタイプなのだから。

「あるとき僕がちょっとしたミスをしたんです。彼女、すーっとそばにきて『その数値、違ってますよ』って。公に指摘はしなかった。まあ、大局に影響はない数値だったけど、意地悪な人ならやり玉に挙げてもおかしくはない。それでよくわかったんです。彼女は協力体制をより強固にするために淡々と、でも緻密にベースを積み上げていこうとしているんだなと。僕らはなんとなく彼女が、協力を拒んでいるように勝手に思っていただけだった。その後、彼女をランチに誘って、そういう話をしたんですよ。もうぶっちゃけて話しますけどねと前置きして。そうしたら『ああ、私の話し方やミーティングの進め方が、そういう誤解を生むんですよね。申し訳ないです』と。なんだ、いい人だったんだ、と。その後は一気に打ち解けました」

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