妻を絶賛しながら…年下女性に肉体関係ナシの「濃厚な愛情」 46歳夫が“セカンドパートナー”と出会うまで

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妻とのなれそめ

 そんな経緯を経て就職したが、相変わらず両親が気にしていた「世間」が何かはつかめなかった。自分のしたいように生きていかなければ後悔するという思いが先に立っていた。結婚したのは28歳のとき。友人の結婚式の二次会で知り合った同い年の史乃さんだ。

「立食パーティだったのですが、壁際に並べてあった椅子に座ったら隣り合ったのが彼女だった。たわいもない話をしていたら、お互いに映画が好きとわかって。いちばん好きな映画とか最近観たおもしろかった映画とか、いろいろ話しました。帰り際に『もう少し話せませんか』と近くのバーに誘いました」

 つきあいたいとか一目惚れとか、そんな感じではなかったと寿登さんは言う。ただ、彼女と話しているのが心地よかった。だからもう少し話したいと思った。そして別れるときには「また会いたい」と思い、連絡先を交換した。

「そのまま何ごともなく1年ほどつきあって結婚しようということになった。自然な流れでした。ちょうど僕に転勤話が出ていたので、結婚して転勤先に一緒にと思っていたら、『結婚はするけど、私は仕事があるから転勤先には行けない。それが嫌なら結婚は延期か中止かどちらかになる』と言われました。それがいいなと思った。結婚したからあなたについていきますというタイプではないとわかったから。結局、婚姻届を出して、そのまま別居婚になりました」

 別居婚のまま史乃さんは2年後に出産、娘が1歳になったとき彼は東京に戻った。だがさらにその2年後に息子が産まれたときも、彼は単身赴任中だった。

「僕の伯母夫婦が手伝ってくれていました。史乃はメンタルが強い上に人づきあいもよくて、伯母夫婦から大絶賛されていました。本当にいい妻なんです」

 寿登さんは妻の短所が見つからないとまで言い切った。妻のいちばん素晴らしいところは「生きていることを楽しんでいる」ところだそうだ。それは父の自死を「必死に」淡々と受け止めた自分の中にもある、厭世的なところ、世の中を拗ねたような目で見てしまうところを補ってあまりあるのだという。

「パートナーとして最高」

 寿登さんの妻への絶賛は続く。

「史乃と一緒にいると、穏やかに自然に笑うことができる。子どもたちに対しても、彼女は本気で向き合いつづけた。本気で怒ったり本気で笑ったり、心配して大泣きしたり。娘なんて『ママが子どもみたいだから、私が先に大人になった』と言っているくらいです。日常をともにするパートナーとして史乃は最高だと思っています。史乃は人を責めることがまったくないので、僕たち、一度もケンカしたことがないんですよ」

 史乃さんは「人って簡単に他人を責めるけど、人間は誰もが不完全なんだから、誰にも責める資格なんてないよね」と言ったことがあるそうだ。聖書ヨハネの福音書には、姦淫の場から連れ出された女性が石打ちの刑にあいそうになっているとき、キリストは「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの人に石を投げなさい」と言い、誰も手出しができなかったとある。史乃さんの言い分はそれに近い。人への許容量が大きく、自分自身を責めることもない。おおらかだから、彼女のいる空間は「緩くて穏やかな空気が流れている」と寿登さんは言う。

 子どもたちが小学校高学年になっても家族関係は揺るぎなかった。親子関係が良好なことを親側が話す場合、子どもが何でも話してくれるとか親子間で秘密などないとか言いがちだが、寿登さんはそういうふうには言わなかった。

「娘は、たぶんクラスに好きな男の子がいるんでしょう。それを友だちと秘密を共有しているようです。僕らには話さないし、僕らも聞かないけど。子どもには秘密があっていいと思っているので。危険なこと以外はね。息子のほうはあっけらかんとサッカーばかりしています。ただ、もし子どもたちが何かで苦しむようなことがあるとしたら、どんな手を使っても解決するためにがんばるつもりでいますが。子育てって見守ることが重要だろうと妻と話し合ってきたんです」

 妻との信頼関係は盤石だし、子どもたちも無事に成長している。これ以上、何を望むことがあろうと寿登さんはいつも思っていた。特に心配ごとや悩みがなく生活していけるのは、それだけで幸せなのだ。幸せのハードルは低いほうが気持ちが安定する。

 そんな寿登さんに新たな“出会い”があったのは一昨年の夏だった。

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後編】では、寿登さんの“セカパ”となった「奏子さん」とのなれそめと併せ、彼が送る生活の模様をお伝えしている。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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