「人間は44歳と60歳で急激に老いる」は本当か…専門医は「老化に節目があるのは事実」「タイミングを考えて人間ドックを受診してほしい」
人間ドックの活用法
44歳で急激な老化を迎えると、さらにストレスの影響を受けるのは言うまでもない。とはいえ、まだまだ40代が元気な年齢であることも事実だ。
「私たちが老いを実感するのは、やはり60代からでしょう。つまり60歳は“老いの入口”だと言えます。一つの特徴として『どんなに節制しても、遺伝的な要因で症状が出る』ことが挙げられます。40代の高血圧は不摂生を疑われても仕方ありません。一方、両親のどちらかが高血圧の場合、その子供は60代になると高血圧になる確率が上がります。場合によっては健康的な生活を送っていたとしても、血圧の数値が高くなることもあるのです。高血圧、高脂血症、糖尿病の3つは生活習慣病と呼ばれ、日常の生活態度が大きな影響を与えるのは事実ですが、遺伝の要素も非常に強いのです」(同・秋津医師)
衝撃的な研究結果に、ただ驚いているばかりでは意味がない。「44歳と60歳前後で人は急激に老いる」という事実を、どう活かせばいいのだろうか。
「まず職場などで実施される健康診断は必ず毎年受診し、その結果は保存しておいてください。折に触れて見返すだけでも、自分がどれほど老いているか、どれほど病のリスクが上昇しているか分かります。そして40代から60代までの時期に、人間ドックも受診してください。研究結果が示した通り、44歳と60歳を節目と捉えて受けても構いませんし、50歳で友達と一緒に行っても大丈夫です。結果から専門医が助言をしてくれるはずですから、その指示に従ってください」(同・秋津医師)
遺伝子も老いる
かつて「遺伝子解析が進めば、幼い時に唾液や血液を採取して調べると、どのような病気に罹患し、どの病気が死因となるか傾向が推定できる」と言われている時期もあった。ところが最新の研究によると、そうではないのだという。
「遺伝子も老いるということが分かりつつあります。例えば、がんの遺伝的な因子を持っている人でも、その遺伝子が老いてしまったことでがんになる“スイッチ”が働かなくなるというケースが発見されているのです。となれば、最新の健康状態を把握することが最も重要だということになります。毎年の健康診断は必ず受けるということを前提にした上で、折を見て人間ドックを受診し、自分の老いを正しく把握するわけです」(同・秋津医師)
註:有吉弘行 急激に老化が進む年齢とは?有名大学のデータに「すげぇ、やっぱりそうだったか!」(スポニチアネックス:8月18日)