飛び交うのは十数億円レベル 自民党総裁選は日本でもっともダーティーな選挙の1つ

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ニッカ、サントリー、オールドパー

 9月12日公示、27日投開票の日程で行われることが決まった自民党総裁選。東京地検特捜部から派閥や政治とカネの問題をめぐって捜査を受け、関係者が起訴されたばかりだけに、カネのかかり具合について世間の厳しい目が注がれることになりそうだ。表向きにはそういった声に配慮しつつも、水面下では札束が飛び交う場面がこれまで同様に繰り返されそうな雰囲気だ。

「総裁選自体、運営だけでも数億円レベルでカネがかかるものとされており、今回はこれまで以上にそういった点が各方面から突っ込まれる可能性がありますね」

 と、政治部デスク。いわゆる必要経費もやり玉に上げられるとなるとさすがに過剰反応との指摘が上がり、同時期に代表選を行う民主党にも飛び火しそうな勢いもありそうだ。

「そういった表のカネはともかく、今回はこれまで以上に水面下のカネに注目が集まることでしょう。ニッカ、サントリー、オールドパーの世界が再現されれば非難されること必至ですからね」(同)

まさに何でもアリの戦争

 ニッカ、サントリー、オールドパー……一定以上の年齢の人しかピンと来ないかもしれないが、洋酒メーカー、ブランドが由来の隠語である。話は、1964年の総裁選にさかのぼる。この選挙では、現職で3選を狙う池田勇人(池田派)、佐藤栄作(佐藤派)、藤山愛一郎(藤山派)の各氏が立候補し、池田氏が2人を破った。

「後に語り継がれる総裁選で、激しい闘いだったそうです。2つの派閥からカネをもらうニッカ、3派閥からカネをもらうサントリー、全方位的にカネを受け取るが、白紙投票をするオールドパーといった隠語が生まれたとされています。その後も総裁選のたびに実弾が飛び交っているのは間違いないようですね。激しい時には十数億円が飛び交った、などと言われます」(同)

 一般に「選挙とカネ」の問題といえば、有権者である国民への買収工作が連想されやすい。1980年代、鹿児島県奄美地方の衆議院選挙における保岡興治氏と徳田虎雄氏との「保徳(やすとく)戦争」あたりがダーティーさ、苛烈さでは有名だ。

「両陣営は深く対立して地域を二分しており、どちらに付くか、どちらが勝つかで自分たちの生活が一変するような状況だったということです。選挙違反はもちろん替え玉投票まで起こり、まさに何でもアリの戦争でした」(同)

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