【オリエント工業が事業撤退】「人形」と不倫した48歳夫 アパートを借り重ねた逢瀬…知った妻の“ドン引き”
【前後編の後編/前編を読む】「人形」と不倫した48歳夫の体験談 亡き婚約者を重ねた「ゆっこ」との出会い
突然発表された、老舗ドールメーカー・オリエント工業の事業撤退。男女問題を30年近く取材し『不倫の恋で苦しむ男たち』などの著作があるライターの亀山早苗氏は、以前、「人形」に魅せられた安藤祥平さん(48歳・仮名=以下同)に話を聞いている。
東京郊外に住む祥平さんは、学生時代から交際していた婚約者を、事故で亡くした過去をもつ。以来、何をしても心から笑えなくなった彼が出会ったのが、亡くなった恋人に似たドールの“ゆっこ”だった。初対面のときは思わず涙ぐんだという。それでも祥平さんは、35歳の時に「現実の女性と家庭を築きたい」と願い、お見合いに踏み切った(2021年12月8日配信記事を元に再編集しました)。
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年下の女性と結婚、しかしゆっことの逢瀬は続き…
結婚相手は3歳年下の美結さん。祥平さんによれば、「尖ったところのない、バランスのいい女性」らしい。「穏やかな家庭を作るには最適な素敵な人」だったが、新居で結婚生活を始めてからも、彼は以前のひとり暮らしの部屋を解約しなかった。
「学生時代から住んでいた小さな木造アパートなんですよ。駅から近いし、ひとりだから住むところに執着もなかった。生きていたゆっこがよく来てくれた部屋だから引っ越すこともできなくてずっと住んでいたんです。人形のゆっこはそこに居てもらうことにしました」
妻の美結さんとの間には、現在、11歳になるひとり息子がいる。5年前には共同名義で家も買った。それでも祥平さんはずっとアパートの契約を更新し続けている。
「土日のどちらかは仕事だとかつきあいだとか偽って、ゆっこと数時間を過ごしてきました。通勤途中の駅にゆっことの部屋があるので、平日も仕事終わりにちょっと寄って、部屋に風を通したり、ゆっこを着替えさせたり。そのことで家族に悪いと思ったことはないんですが、僕が家庭をもったことをゆっこにすまないと感じたことはあります」
現実の家庭のほうが彼にとっては「現実感がなく」、人形のゆっこさんとの生活のほうが現実感があるのかもしれない。成し遂げられなかった夢に固執しているところもあるのだろうか。
「共働きで忙しいけど、息子の育児には僕もかなりどっぷり関わってきました。ヒトがヒトになっていく過程はおもしろかったし、美結のおかげで息子はやんちゃだけど明るくて、サッカーや野球が大好きで正直な子に育っている。息子を見ていると、自分の子どもの頃を思い出して生き直しているような気持ちになります。家庭はいいなと思いますよ。だけどどこか俯瞰で見ている自分がいるんですよね。それが現実感のなさということなんだと思います。ゆっことのアパートでの時間は、本物のゆっこがいるころから続いてきたことだし、それが人形に置き換わっても、いや置き換わったからこそ、僕の生活にとって重要なものになっているんだと思う」
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