「この棒振り野郎!」と罵られることも…現場は高齢者ばかりという「警備員」のリアル「トイレに行けないので膀胱炎率は高い」

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高齢者がカラダを酷使する仕事

 これでは家族など養えるわけがなく、若手が参入してこない。前出の「賃金構造基本統計調査」では、警備員の平均年齢は51.6歳。これも1~4号警備全体の数字で、より瞬発力や判断力が問われる3、4号に若手が集まりやすいことなどを勘案すると、1、2号の平均年齢はより上がるだろう。

 こうして現場には高齢警備員が多く集まり、さらに給料は上がらないという負のスパイラルに陥る。あまりにも高齢者が多いことから、現場経験者からは「警備業は、老人のセーフティネットにすらなっている」という声もあるほどだ。

 そんな高齢者の多い1、2号の警備で最も必要なもの、それが「体力」だ。体を使った仕事の多いブルーカラーのなかでも、重たい荷物を運ぶことがほとんどないために警備業は「体力がない人が就くブルーカラー業」、と思われがちだか、そんなことはない。

 基本、仕事が始まれば立ちっぱなし。外での仕事が多いため、夏は暑く、冬は寒い。直射日光に晒されようが木枯らしに吹かれようが、自分の持ち場を離れることができない過酷な仕事。筋力は必要なくとも体は酷使するのだ。

「現場はとにかく高齢の警備員ばかり。本当に何かあった時に対応できるのか不安」

「ひとりのポストで交通誘導する時はトイレに行けないので、膀胱炎率が高いと聞きます」

「現場にいる警備員の多くは歯がないかボロボロです。クルマがない。あってもこちらもボロボロの軽自動車です。どれもこれも、やはりお金がないからです」

見送られた外国人労働者の受け入れ

 この「人手不足」は、人口が減少しつづける日本においては由々しき大問題だ。その対策として、各業種では昨今「外国人労働者」を積極的に受け入れる傾向があり、すでに建設業や製造業、コンビニなどでも外国人労働者を目にすることがある。

 その一方で、外国人が警備をしている姿はあまり見たことがないのではないだろうか。

 結論から言うと、外国人でも警備員にはなれる。

 冒頭で紹介した通り、警備業には欠格事由が定められているが、外国人であってもその条件をクリアしていれば警備員にはなれるのだ。だが、外国人が日本で警備員になろうとした時、最も高いハードルになるのが「ビザ」だ。

「学生ビザ」を保有している留学生の場合、資格外活動許可があれば週28時間までアルバイトは可能だが、報酬や条件が高くない警備業は、彼らにとっても他業種を押しのけて選択する理由が乏しいのが現状だ。

 また、正社員として働くには「就労ビザ」が必要になるが、警備業においては就労ビザが出ることはほとんど不可能に近い。もし外国人が警備をしていた場合、彼らの多くが「留学生アルバイト」や「定住者」などである可能性が高いといえる。

 警備業界としては外国人労働者受け入れには前向きで、全国警備業協会の検討部会では、特定技能の新分野としての指定を数年前から目指していた。しかし今年3月、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の追加が閣議決定されるなか、警備業は選ばれず。5年後の指定を目指し、引き続き業界の意向の調査・研究を継続するとしている。

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