東海大相模の“超大型左腕”藤田琉生、ドラフト上位候補に浮上も…プロが「育成は難しい」と話す“不安”とは

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“大器”ゆえの不安要素

 しかし、その一方で、“気になる点”を口にするスカウトもいた。セリーグ球団のスカウトの話。

「もちろん、変化球を器用に投げられるところは素晴らしい。ですが、ストレートを磨くことを疎かにしてほしくない。今日(富山商戦)も、相手打者にストレートは当てられていました。ストレートがあっての変化球ですから、もっと(まっすぐの)レベルを上げていってほしいですね」

 さらに、こう続ける。

「藤田ほどの長身の左投手は、なかなかいませんので、プロ入りしても教える側も難しい。藤田は器用なので大丈夫かなと思いますが、自分の感覚を大事にしてもらいたいですね」

 確かに、今のプロ野球界を見渡しても、「195cm以上の日本人左腕」は、巨人の育成選手、鴨打瑛二(創成館、2021年育成ドラフト5位)のみだ。巨人にはもう一人、身長200cmの阿部剣友(札幌大谷、2020年育成ドラフト8位)が在籍していたが、支配下登録されることなく、昨年限りで球界を去っている。彼らの高校時代と比べて、すべての面で藤田が大きく上回るが、プロ側がうまく育成ができないのではないか、との不安がある。

 日刊スポーツの報道によると、関東第一戦の試合後、藤田は「進路はまだ決めていないです。大学へ行くのか、プロ志望を出させていただくのか、先生方とも話していきたいと思います」と語ったそうだが、筆者がスカウト陣から得た情報では、プロ志望届を提出する可能性が高いという。

 果たして、“大器”をどの球団が指名するのか―。今秋のドラフト会議で、大きな注目ポイントとなりそうだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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