ランキング上位は「アニメ」と「コミック原作」ばかり…邦画界に「実写オリジナル作品」が復活する日は来るか

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話題は配信系に

「原作作品を土台に、キャスティングなども含めて練り上げて作品化するのが本来の映画会社の仕事ですが、どの映画会社もコミック原作以外の実写製作本数が軒並み減っています。小説やノンフィクションの場合、製作部門の人間がこれはと思う原作を企画として上に出しても、『本屋大賞』などの文学賞を受賞して社会現象になっているとか、中高生の間でブームになっているなど、ヒットが見込める要素がない限り却下されてしまう。それに比べ、コミックは最初から人気のある作品を狙いますから、映画化へのハードルがかなり下がります」(映画業界関係者)

 今年上半期の興行収入を見ると、コミック原作の実写化以外で、ヒットの基準と言われる興行収入10億円を突破した邦画実写作品はわずか6本。

 YouTube動画を基にしたベストセラーの原作を映画化した、間宮祥太朗(31)主演の「変な家」が50億円を突破。舘ひろし(74)と柴田恭兵(73)W主演の人気シリーズ8年ぶりの最新作「帰ってきたあぶない刑事」が16.3億円。清武英利氏の原作で、大泉洋主演のヒューマンドラマ「ディア・ファミリー」が14.1億円。川村元気氏の原作小説を映画化した佐藤健主演の「四月になれば彼女は」が11.5億円。そして、これまで何度も映像化されている夢枕獏氏の原作を映画化した山崎賢人主演の「陰陽師0」が10.8億円、佐藤愛子さんのベストセラーを草笛光子(90)主演で映画化した「九十歳。何がめでたい」が10億円となっている。

 ところで実写作品といえば、動画配信サービスに話題作が多いのがここ数年の傾向になっている。製作費をふんだんに使い、キャストもスケールも大掛かりな見応えのある作品が多い。

「現在、Netflix(ネトフリ)で配信中の原作小説を基にした『地面師たち』が話題になっています。豊川悦司、綾野剛、小池栄子、北村一輝、池田エライザら豪華キャストを集め、豊川さん演じる主人公が無慈悲に仲間を殺害するシーンや、地面師グループからターゲットにされた地権者がホストをはべらせての性描写など、かなりきわどいところまで攻め、ロケも相当な金をかけています。22年に出版された原作小説『地面師たち』(集英社)の文庫版あとがきによれば、大根仁監督が映像化の企画書を映画会社やテレビ局等に持ち込むも、『会社的に絶対に通りません』と言われたそうです。特にテレビ局の場合、CMスポンサーでもある不動産会社との関係性によってなかなか受けてもらえなかったという、当時の苦悩が綴られています。昔なら、大手映画会社がやるべき作品だったのでしょうが、今やネトフリ、Prime Videoなど資金力が豊富な動画配信サービスでないと製作することが難しいのです」(映画担当記者)

 こうした傾向を受けて、テレビや映画会社から、有為な人材が流出しているという。

「映画会社にもクリエイターを志望する社員は少なからず入社して来ますが、それなりに実績のあるプロデューサークラスも含めて、有為な人材はネトフリなど動画配信サービスに流出していいます。ただでさえ入社する人数が減っているのに、辞める人が増えているのが映画界の現状です。まさに危機的状況とも言えるでしょう」(同)

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