47年前の「能登半島」の再生回数が倍に… 石川さゆりが“胸中複雑な再ヒット”と“伝えたい想い”を語る

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「能登のことを忘れないで」

 そして先月、NHK「うたコン」の企画で放送されたように、現地を訪れ無料コンサートを開き「能登半島」を歌っている。

「7月に伺った時、みんなで『能登半島』を歌いましょうと言ったら、実に500人を超える方たちと大合唱になって、こんな『能登半島』があるのだと、逆に私の方がものすごいエネルギーをいただきました。現実の皆さんは、日を重ねるごとに大変な日々を送っていらっしゃるのに…と、涙が止まらなかったです」

 6月には新曲「とこしえの旅」を発表した。春に能登を訪れた石川の想いを作詞家の松井五郎に託し、作曲を加藤登紀子、編曲を斎藤ネコが手がけた楽曲だ。特に2番の、厳しい状況のなかでも花が咲き、子どもたちが無邪気に駆けて遊んでいるという描写は、実際に石川が見た景色だと語る。

 8月末にも少人数の編成にて能登で無料コンサートを行うという石川に、今の想いをあらためて尋ねてみた。

「能登は自然も豊かで、独自の文化もいっぱいあります。能登の方々が、また新たな一歩を踏み出して、日常生活ができるようになることを心から願っています。そして、私も『能登半島』を歌っていくことで、日本中の皆さんが能登のことを忘れず、心を繋いでくだされたらと思います」

 誰もが、日々の暮らしの中で忙殺されたり、国内外の多くのニュースに触れたりすることで、能登で起こった災害の記憶が、どうしても薄れてしまいがちだろう。

 そんな時に、石川さゆりの「能登半島」が、能登の人々を思うキッカケとして根付くことを期待している。

(なお、阿久悠、三木たかしの両事務所では「能登半島」の著作権使用料の一部を能登半島地震の義援金として寄付することを発表している)。

(取材・文:人と音楽を繋げたい音楽マーケッター・臼井孝)

臼井孝(うすい・たかし)
人と音楽をつなげたい音楽マーケッター。1968年、京都市生まれ。京都大学大学院理学研究科卒業。総合化学会社、音楽系の広告代理店を経て、'05年に『T2U音楽研究所』を設立し独立。以来、音楽市場やヒットチャートの分析執筆や、プレイリスト「おとラボ」など配信サイトでの選曲、CDの企画や解説を手がける。著書に『記録と記憶で読み解くJ-POPヒット列伝』(いそっぷ社)、ラジオ番組『渋谷いきいき倶楽部』(渋谷のラジオ)に出演中。データに愛と情熱を注いで音楽を届けるのがライフワーク。

デイリー新潮編集部

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