「キャッチフレーズを書け」と記者に迫り大迷惑 “パワハラ”イメージを変えたい茂木敏充幹事長

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「乱立」「混戦」「暗闘」――。今月14日、岸田文雄首相(67)が退陣を表明したことで、来月の自民党総裁選は一気に無秩序状態へと突入した。“パワハラ気質”の印象がある茂木敏充幹事長(68)は、イメチェンに躍起になっているというが…。

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 若手中堅のホープが出馬表明で脚光を浴びる中、候補の一人と目されるベテラン議員は焦燥感を隠せない。

 岸田首相を支える要職にありながら、総理総裁への色気を隠さず「令和の明智光秀」とも揶揄されてきた茂木敏充幹事長(68)。それが今や、慕ってきた親分にフラれた挙句、子分たちにも裏切られる始末なのだ。

 象徴的な出来事が起こったのは今月14日のこと。岸田首相が退陣会見をしたまさにその日の晩、茂木氏は党副総裁を務める麻生太郎元首相(83)に対して、真っ先に面会を求めた。

 密談の舞台は、東京・赤坂見附にある完全予約制のステーキ店「Oyaizu(オヤイヅ)」で、一人あたり4万4000円のおまかせコースが自慢という。

 麻生氏と共にカウンター席にかけた茂木氏は、目の前でシェフが焼く黒毛和牛をほおばりながら、ビンテージの赤ワインがつがれたグラスでも傾けて、総裁選の作戦会議と洒落込もうとしたに違いない。

「支持基盤が分裂することは避けられない」

 だが、会食開始から2時間後、麻生氏と店を出た茂木氏は赤ら顔でご機嫌かと思えば、さにあらず。“顔面蒼白”だったというのだ。

 全国紙の政治部記者が解説する。

「総裁選での支持を求めた茂木氏に対し、麻生氏は“ウチの派閥には河野がいるから難しい”と断ったそうです。その2日後には、自ら率いた旧茂木派からも候補者が出ることが分かり、支持基盤が分裂することは避けられない情勢です」

 菅政権で官房長官を務めた加藤勝信氏(68)が出馬への意欲を示し、茂木氏は四面楚歌の状況に陥っているというわけである。

「バラエティ番組にも出たがっているが…」

 ここまで周囲から避けられる背景には、石破氏が首位常連となる「誰が首相に相応しいか」の世論調査で、茂木氏が下位に甘んじていることが挙げられる。

 政治ジャーナリスト・青山和弘氏に聞くと、

「さすがに世論の支持がないということは茂木さんも重々承知している様子で、報道番組だけでなく、バラエティーなどにも出演したいと思っているそうです。メディア関係者に打診しているようですが、あまりに政治色が強すぎて食いつきは悪いようです」

 ここ最近の茂木氏は、柄にもなくつくり笑顔の場面が多い。巷で人気のユーチューバーと仲良さげに共演する動画が、数多く配信されている。

“キャッチコピーを書け”と記者にプレッシャーを

 加えて、党内の若手議員が言い始めたという茂木氏のキャッチコピー「意外と敏充」を、流行らせようと必死なんだとか。

 かつて本誌が報じたように、茂木氏は外務省が独自の接遇マニュアルを秘かに用意して臨む。要は“パワハラ気質”の人である。このたびは、そんな日頃の強面を逆手に取って、“意外と温厚”という印象を振りまこうとしているのだ。

「茂木氏本人もキャッチコピーをいたく気に入っているそうで、記者に対しても“コレを書け”とプレッシャーをかけているようです。ある番記者は上司のデスクに“取り上げないと幹事長が許してくれないんです”と泣きついたとか」(同)

 迷惑千万な話だが、政権与党の最高幹部がこの始末では“本命なき総裁選”と揶揄されるのも頷けよう。

 人材枯渇も甚だしい自民党の大暗闘は、まだ始まったばかりである。

関連記事【「石破さんと飲みに行きたくない」と語る自民党大物の名前は? 総裁選直前だが「プライドが高く頭が下げられない」】では、菅義偉前首相と武田良太元総務相との会合で2人をずっこけさせた石破氏の発言について報じている。

週刊新潮 2024年8月29日号掲載

特集「本命なき自民党総裁選の大暗闘」より

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