元”練習生”がK-1現役チャンピオンから「人間サンドバッグ扱いされ、顎と鼻の骨を折られた」と警察に被害届 王者は「練習中の事故」と反論

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2人きりの自主トレに参加するうちに「対等」から「上下」に関係が変わった

 父子が“加害者”として名指しした人物が、K-1のスーパーバンタム級現役王者である金子晃大(27)だ。

 金子は16年、K-1と同じ団体が主催するK-1の登竜門的格闘技イベント「Krush」でプロデビュー。18年6月にKrushバンタム級王座についた。19年からK-1に参戦し、22年にはスーパーバンタム級王座を戴冠。その後2回の防衛に成功中で、甘いマスクと実力を兼ね備えたK-1の顔と言える人気選手である。

 2人の出会いは2015年に遡る。格闘家を目指していたAさんは20代前半の頃、世田谷区・三軒茶屋にあるK-1系列のジムの門を叩いた。そこで先に入会していたのが金子だった。

「私の方が5つくらい年上だったこともあり、最初は互いに君付けで呼び合い、ミットを持ち合って練習する関係でした。その後、私は別のジムに移籍。いったん彼との関係が途切れたのですが、20年夏頃、金子から『自主トレに参加しないか』と誘われ加わるようになりました」(Aさん)

 上述したようにすでにこの頃、金子はK-1でプロデビューしていた注目選手だった。そんな選手と一緒に練習すれば強くなれると思ったAさんは、金子の知人も含めた4人で千葉県習志野市の金子の自宅近辺にある公園で走り込み練習などに励んだという。だが、

「数カ月すると他の2人が脱落し、私と金子2人きりになってしまいました。そこから徐々にそれまでの対等な関係から、金子が上、私が下という師弟関係に変わり、命令口調で指示されるようになったのです」

 実際、実力差が大きかったためその関係を受け入れたAさん。だが、意に反して金子の態度は増長していくばかりだったと語る。

「2人きりの練習が始まって数カ月もすると、彼は練習に『マススパーリングを取り入れよう』と言い始め、実行しました。ただそれは練習という名のイビリでした」

「下から顎を思いっきり蹴られた」と主張するAさん

 マススパーリングは実戦形式でやる練習で、通常は相手に怪我をさせないため16オンスの大きいグローブとヘッドギアなどの防具をつけてジム内で行われる。

 だが、金子は公園で試合用の薄い8オンスのグローブを用いて、防具なしのAさんに本気で殴りかかってきたとAさんは話すのだ。

「相手が格上なのでこっちはまぐれでしか当たりません。もし当たってしまっても、その数倍殴り返されることは明白だったので、私の方は手を出せず、動く“人間サンドバッグ”になるしかなかった。やるたびに体はボロボロになりました。何度もこの練習は辞めたいと言ったのですが、彼は『だったら本気の実戦やってみるか』などと凄んでくる。仕返しが怖くてやられっぱなしでした」

 こうした練習後の顔を自撮りしたのが、先に挙げた「パンパンの顔」だったという。

 そして、自主トレが始まって3カ月程が経過した21年10月。Aさんはとうとう大怪我を負った。

「いつものように殴られっぱなしで地面に四つん這いになって倒れた時、下から顎を思いっきり蹴り上げられたのです。あまりの衝撃と激痛でしばらくうずくまりました。ただいつものことだったので金子は平気な顔。『よし、今日の練習は終わり。お前は走ってから帰れ』と言い残して去っていった」

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