早くもネタ切れ?「新プロジェクトX」8月は未だ放送ゼロ “旧作アンコール”も頻発でNHK内部からも冷ややかな視線が

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旧シリーズの問題点

「早くもほころびが出てきました。実は旧シリーズも、さまざまな矛盾や事実誤認が指摘された番組でした。中でも05年5月10日放送の『ファイト!町工場に捧げる日本一の歌』は、荒れていた高校に熱血教師が現れて合唱部を作り、全国コンクールで金賞を取るまでを描いたドラマ『スクール☆ウォーズ~泣き虫先生の7年戦争~』(TBS)さながらの内容だったのですが……」

 番組放送後にOBから「事実と異なる」という指摘が複数寄せられ、高校からも再放送の中止などを求める書面が提出された。これに対しNHKは、高校の荒れ方を描くのに暴走族の資料映像を使ったこと、「退学者が毎年80人」と裏付けのない数字を使ったこと、確認せずに「コンクール会場にパトカーが来た」とした点など、行きすぎた表現があったことを認めて謝罪することに。

「この放送がきっかけで、旧シリーズは終了したと言われています。テレビマンとしてドラマチックに演出したくなる気持ちはわからなくはありませんが、ここまで行くとヤラセと言われても仕方ない。その当時、現場では『取り上げる対象がなくなってきた』という声が上がっていたそうです。そのスタッフを再集結させたのが新シリーズです」

 稲葉会長は《(番組で取り上げるべき人が)多くいらっしゃることを知っていた》と語っていたが、新シリーズは6月1日の第8回も再放送に。

五輪宣伝企画も

「6月15日の第10回『世界最速へ 技術者たちの頭脳戦~スーパーコンピューター「京」~』では、開発責任者である井上愛一郎氏が全く登場しなかったことへの疑問を井上氏の家族がXに投稿し、ネット上で話題となりました」

 6月29日の第12回も再放送となり、翌週の第13回は黒柳徹子をゲストに迎え、彼女が卒業したトモエ学園を紹介した。

「特別編と謳ってはいたものの、なんだか違和感を覚えましたね。さらに、第14回は『男子バスケ 世代を越えた逆転劇~オリンピック 48年の挑戦~』、第15回は『なでしこの花咲く日まで~サッカー女子 不屈のバトンリレー~』とパリ五輪の宣伝企画のような内容となり、そのまま五輪中継に突入しました」

 パリ五輪が終わって通常編成に戻ったが、今も「新プロジェクトX」の放送はない。

「最新作は8月31日放送の『祈りの塔 1300年の時をつなぐ~国宝 薬師寺東塔 全解体修理~』です。旧シリーズは足かけ5年以上、190本近い作品を放送しました。毀誉褒貶はありますが、やり切ったとも言えるでしょう。新シリーズはバブル崩壊後の“失われた時代”を主戦場にしているものの、正直言って、その時代の日本に番組のネタになるようなテーマがそれほどあるとは思えません」

 視聴率はそれほど悪くないという。

「『ニュース7』が終わった途端に始まる田口トモロヲのナレーションと中島みゆきの『地上の星』に引きつけられる視聴者は少なくないのでしょう。しかし、視聴率は初回の個人6・6%、世帯11・6%が最高で、徐々に下がってきています。局内では早くも、クオリティーを含め番組継続は大丈夫なのかという声が上がり始めており、番組スタッフに冷たい目が向けられています。肝いりで始めてしまっただけに、1年で打ち切ることはないと思いますが、こうなったら“『新プロジェクトX』という番組存亡の危機”でもテーマにしたらどうかなんて陰口も聞かれています」

デイリー新潮編集部

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