マーティ・フリードマンが明かす、工藤静香やWinkの『B面』が海外で人気のワケ 作品も歌声も「1ランク上」と感じた昭和アイドルとは

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Wink 「愛を奪って 心縛って」

‘94年2月発売のシングル「いつまでも好きでいたくて」のカップリング(本作は、CDシングルでの発売で、厳密には「B面」ではない)。表題曲の「いつまでも好きでいたくて」(作詞:秋元康、作曲:加藤和彦、編曲:門倉聡)は‘70年代フォーク風の穏やかな曲調なのに対し、「愛を奪って 心縛って」(作詞:吉元由美、作曲:井上大輔、編曲:門倉聡)のほうは、デコラティブなダンスミュージックと繊細な歌声の組み合わせという従来のWinkっぽい仕上がりだ。「いつまでも~」はオリコン最高19位、累計7.9万枚のヒット作。

‘24年7月末時点のSpotifyでの再生回数は「いつまでも好きでいたくて」が13万回に対し、「愛を奪って 心縛って」は110万回と圧倒的にカップリングが人気。しかも、そのうち9割以上が海外からのアクセスで、アメリカ、メキシコ、ブラジルなどで特に高い再生回数を誇っている。

「Winkの『愛を奪って 心縛って』、これこそ、時代を象徴する作品ですね。海外の人なら誰しも、“リアルタイムで聴いていないのに、懐かしい!!”って喜びそう。さらに、歪ませたギター演奏を足したら、そのままZARDになりそうな気がしました(笑)。

 これは僕の推測ですが、海外では彼女たちの歌声を、一見ヘタそうに聴こえるけれど、実は味わい深くてうまい、いわゆる“ヘタウマ”な歌手として楽しんでいる人もいると思います。アメリカでは、“ヘタウマ”な歌手がデビューすることすらできないんですよ。でも、日本は、そういう歌手を大事に育てて、ファンも一緒に応援することで、さらにアイドルが磨かれていくという幸せな環境がありますよね。

 こういった事情をごく普通のアメリカ人に話しても、“(ヘタウマと言われる歌手の)どこが魅力なの??”って理解できない人が多い。でも、実は“ヘタウマ”な歌手も楽曲との組み合わせ次第で、“うまい”と言われる歌手の作品よりも圧倒的に輝きます。特にWinkは、二人の歌声の重なり方が絶妙で、何回も聴くとヤミツキになる人も多い気がします。中でも女性にシャウトしてほしくないタイプの人は、Winkが大好きになるでしょうね」

 Winkは、アーティスト全体として海外比率が高く、特に「愛が止まらない~Turn It Into Love~」(オリジナル:カイリー・ミノーグ)や、「Sugar Baby Love」(オリジナル:ルベッツ)などカバー曲がその上位に多いのもポイントだ。海外では、日本のアイドルによるカバーはどう映っているのだろうか。

「カバーは、楽曲がさらに人気になる大きなきっかけとなっているでしょうね。例えば、『Sugar Baby Love』を検索すれば、世界中のカバーが表示されるじゃないですか。その中で偶然、Winkのバージョンを聴いたら、間違いなく全世界で最もユニークに感じるでしょう。最初、オリジナルとのギャップにギョッとする人もいるかもしれませんが、この良さが分かったなら相当に楽しいはずです。僕も、Winkのカバーを最初に発見して以来、まさに“大好きが止まらない”! 本当に、日本を感じさせる歌手です。そもそも他の国の音楽を検索する人たちは、冒険心があり、オープンマインドなので、彼女たちの魅力が理解できると思いますよ」

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