なぜ?早見優、岡田有希子ら昭和アイドルの『B面曲』が海外でヒット… “J-POPにハマって移住”のギタリストが魅力を分析
ケース1:早見優「緑色のラグーン」
‘84年3月発売のシングル「誘惑光線・クラッ!」のB面で、A面、B面ともに(作詞:松本隆/作曲:筒美京平/編曲:大村雅朗)という大ヒット・メーカーによる強力作。加えて、「誘惑光線・クラッ!」は本人出演のCMソングというタイアップ効果も手伝って、オリコン最高7位、累計15.5万枚のヒットとなった。
‘24年7月末時点のSpotifyでの累計再生回数は、A面「誘惑光線~」の52万回に対し、B面の「緑色のラグーン」が163万回と、3倍以上もリードしている。なお、メジャーコードでテンポがミディアム調の「緑色のラグーン」は、早見優本人が気に入っていて、コアなファンの間でも“良い曲”という評判があったようだ。
「『緑色のラグーン』は、聴いた瞬間、“当時の音だ!”って思いましたね。この時代はシンセ(シンセサイザー)が目まぐるしく発達していたじゃないですか。そのシンセとかサックスの雰囲気などは、まさに“タイムスタンプ”ですね。
A面には自分の想い出が繋がっていて、それを懐かしみながら曲を楽しむリスナーも多いかもしれませんが、海外の人や日本の若者は、リンクする想い出がなく、フラットに聴くことができます。例えば、このA面『誘惑光線・クラッ!』は、かなりキャピキャピのアイドルソングで、時代を感じさせるので、人によっては今聴くとダサく感じるかもしれない。でも、B面の『緑色のラグーン』は“かわい子ぶりっ子”の路線じゃなく、落ち着いて聴ける。今回、昭和アイドルのシングルを通して感じたのは、A面はキュートなアップテンポ。それに対してB面は、わりと大人向けだから、時代に関係なく長く聴かれるのだと思います」
早見優はこの曲に限らず、彼女の楽曲全体で見ても約半数が海外のリスナーとなっていることを伝えると、
「そのデータには納得ですね。というのは、海外で早見優さんのようなタイプの“歌のうまい歌手”はいないんです。例えば、セリーヌ・ディオンのようなパワフルなうまさで圧倒させる歌手はいても、優しい声で、癒しを感じさせるタイプは希少。正直言って、男は癒されたいんです!(笑)」
さらに早見の場合、本人がバイリンガルであり、英語の歌詞が多いことも、海外リスナーがアクセスしやすい理由なのかもしれない。
[2/4ページ]