夏の甲子園は守って勝つ!“飛ばないバット”の導入で「新たな守備戦術」が見えた…「打率最下位」のチームが打って出た“割り切った作戦”

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 甲子園大会で反発性能を抑えた新基準バットが導入されたのは、今春のセンバツからだった。今夏の甲子園出場49校が、それぞれ最初の試合を時点での全25試合で、1点差ゲームは7試合、さらに完封でのゲームは8試合。これを、新基準バット導入前の過去2年、開幕からの25試合で比較してみると、2023年は1点差ゲームが5、完封でのゲームも5、2022年は1点差ゲームが6、完封は3試合にとどまっている。【喜瀬雅則/スポーツライター】

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宮崎商が「勝つために」とった戦術とは

 さらに、その25試合での総得点が2024年の184に対し、2023年は246、2022年は250。この“飛ばないバット”では、やはり得点が入りづらいというのは、こうしたデータからも、はっきりと見て取れる。

 ゆえに、各校の戦いに大きな影響を与えているのは間違いない。それどころかむしろ、勝つための戦術も変わりつつあると言っても、決して過言ではない局面が、この夏の甲子園では見え始めている。そこで今回は、そうした“新たなる守備戦術”の例を見ていきたい。

 4日目第1試合に登場した宮崎商(宮崎)は、コロナ禍の2021年、大阪入りした後にチーム内で新型コロナが広がってしまい、初戦を前に出場辞退。その悲しい歴史を乗り越えての、3年ぶりの出場だった。

 宮崎県大会5試合でのチーム打率は.247は、出場49校中で、各都道府県大会でマークしたチーム打率の中では最下位。一方、初戦の相手となる中京大中京(愛知)は、創部101年目、夏29度目の出場にして、過去7度の全国制覇を誇る名門校。愛知県大会6試合でのチーム打率は.344、安打数63はつまり、1試合平均10安打以上という、まさしく強打のチーム。失礼ながら、そのデータを比較する限りでは、真っ向からの力勝負では、恐らく勝ち目はないだろう。

 宮崎商は、だからこそ“割り切った作戦”に打って出た。

 その強肩と広い守備範囲、投げてもMAX146キロと投打の二刀流で、プロのスカウト陣からも注目されている逸材、ショートの中村奈一輝が、その大胆な守備シフトの狙いを教えてくれた。

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