今年もまた熱戦が…夏の甲子園「伝説の決勝戦」 80年代以降の“ベストゲーム3選”

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第1位 「早稲田実」対「駒大苫小牧」(2006年)

 第1位は、やはり2日間にわたって互角の熱戦が繰り広げられた2006年の早稲田実対駒大苫小牧で決まりだろう。

 かたや夏の甲子園で悲願の初Vを目指す早実、こなた73年ぶり史上2校目の夏3連覇まであと1勝の駒苫。どちらも負けられない一戦は、早実の“ハンカチ王子”斎藤佑樹、3回途中からリリーフした駒苫・田中将大の投手戦になり、7回まで14個のゼロが並ぶ。

 8回に駒苫が三木悠也の中越えソロで均衡を破ると、早実もその裏、桧垣晧次朗の二塁打に敵失を絡め、4番・後藤貴司の中犠飛で追いついた。

 1対1のまま延長戦に突入した試合は、斎藤、田中の両エースが15回まで譲らず、決勝戦では1969年の松山商対三沢以来、37年ぶりの引き分け再試合となった。

 そして、翌日の再戦は、4連投の斎藤が13奪三振の力投を見せ、打線も6安打で4点と効率良く援護。甲子園入り後、体調を崩し、本調子ではなかった田中も0対1の1回2死からリリーフし、気迫の投球を見せたが、2、6、7回といずれも2死から失点し、流れを引き寄せられない。

 一方、斎藤は4対1とリードの最終回に中沢竜也の2ランで1点差に迫られたものの、2死後、最後の打者・田中への4球目が147キロをマークするなど、驚異的なスタミナで空振り三振に打ち取り、ゲームセット。第1回大会出場から「88回待って、その歴史の中で勝てました」(和泉実監督)という同校の長年の悲願を実現した。

 だが、もしこの試合がタイブレークで行われていれば、引き分け再試合はなかった可能性が強く、前出の松山商・矢野のバックホームも見られなかったかもしれない。

 時代やルールは変わったが、今年の決勝戦もどんなドラマが生まれるか注目したい。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

デイリー新潮編集部

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