「根尾昂はリリーバー向き」の声も…「2軍」は首位独走なのに「1軍」は最下位争いで、中日の“若手起用”に問題はないか?
同級生対決どころではなかった根尾
その象徴となってしまったのが、根尾昂(24)である。
「とにかく本人は一生懸命、練習しているし、二軍首脳陣も何とかしてやりたいと思っているんですが」(前出・同)
根尾が今季初先発のチャンスをもらったのは、8月4日の広島戦だった。敵地・マツダスタジアムではあったが、同日の観客動員数は3万936人。広島ファンも小園海斗(24)との同級生対決に期待していた。しかし、当の根尾は、U-18日本代表(2018年)のチームメイトである小園との再会を喜ぶ余裕もなかったようである。同日の根尾のピッチングを指して、こんな声も聞かれた。
「初球で『終わった』というか、ヤバいと思いました。そうしたら、案の定……」(チーム関係者)
広島の1番・秋山翔吾(36)に投げた初球のストレートがすっぽ抜けて大きく外角に外れた。捕手の石橋康太(24)もヤバいと思ったのだろう。2球目に低めの変化球を要求したが、投げた瞬間にボールと分かる棒球で、秋山にストレートの四球を与えてしまった。その後は4連続で長短打を浴び、さらに自らの悪送球もあって5失点。2回には早くも2巡目の秋山にホームランを浴びてしまった。
「小園との同級生対決を楽しむ暇もありませんでした。立浪監督が3イニング目のマウンドに根尾を立たせたのはちょっとビックリでした」(スポーツ紙記者)
涌井秀章(38)は故障、柳裕也(30)は不振でファーム再調整中。リリーフ投手を無駄に消耗させたくなかったのだろうが、根尾が立ち直るかどうかで後半戦の投手のやり繰りも大きく変わってくる。3イニング目はゼロに押さえたものの、この日に投じた投球数は54。試合開始からすでに1時間以上が過ぎていたが、そのほとんどは広島の攻撃である。試合後の立浪監督も怒りを通り越して、「スピードとコントロールが課題のようだね」と淡々と語っていた。
「根尾は2回表に打席に立ち、右中間を割る二塁打を放ちました。広島先発の九里亜蓮(32)も驚いて打球の行方を振り返ったほど」(前出・同)
ファームではDH制が取られているので、根尾が生きた投手のボールを打つのは久しぶりである。
「今季はファーム暮らしが続いているせいもあると思いますが、野手顔負けの長打を放ったことで、根尾の一軍定着を願うファンからは、内野手転向を切望する声も聞かれます」(前出・名古屋在住記者)
NPB関係者も根尾を心配している。根尾がドラフト指名候補だった18年に巨人スカウト部長職にいた岡崎郁氏が、YouTubeチャンネル・アスリートアカデミアのなかで、「坂本(勇人)の後継者になるはずだった」と発言し、元ヤクルトヘッドコーチの宮本慎也氏も「自分が教えていたら」と、内野手としての素質を惜しむコメントを発している。
また、各球団のスカウトが視察現場で中日スタッフを見つけると、「根尾はどう?」と挨拶代わりに質問している。今年がプロ6年目、ファームでくすぶっている選手ではないというのが“専門家たち”の意見でもあるようだ。
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