会議中に「私のお母さんは……」、社外の人に「ウチの部長さんによれば……」 若者が使う“呼称”がどうにも気になる問題
稲垣吾郎メンバー
この呼称問題は他の分野でもときおり勃発している。特に顕著なのは芸能界とメディアの関係だ。メディアと普段から付き合いの深い芸能人・有名人が逮捕や書類送検をされた時に、珍妙な肩書が現れるのだ。本来は「〇〇容疑者」と報じるのがルールではあるのだが、ついメディアとしては「容疑者」とは言いづらい。「普段からお世話になっているし、微罪だし、書類送検されただけで逮捕はされていないからな……」というのが理由だ。
その元祖ともいえそうなのが2001年の稲垣吾郎の道交法違反での現行犯逮捕である。この時、テレビ局はさすがに「稲垣吾郎さん」とは呼ばなかったものの、「容疑者」呼ばわりを避けるべく、妥協案として「稲垣吾郎メンバー」と報じた。その後もこの手の呼称は続き「布袋ギタリスト(布袋寅泰)」や「島田司会者(島田紳助)」「押尾俳優(押尾学)」「小泉タレント(小泉今日子)」などが登場した。
このように呼称とは絶妙な人間関係を表す重要なものであり、冒頭の「お父さん・お母さん」も含め、ただの呼び方でしょ? 的には扱えないものなのである。