子どもがペットをいじめても叱れない親まで…過酷な中学受験で「親が奴隷になる」のを防ぐ処方箋とは

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小学校卒業で信頼を60%に

「先ほどの『信頼と心配』という点でいえば、小学校入学時点でその比率を信頼30%心配70%くらいで考えておきましょう。それを小学校卒業の時点で信頼を50%、願わくば60%くらいにまで高めていく。具体的には子どもがやることには口を出さずにとりあえずは泳がしてみましょう。例えば、“宿題をしなさい”と言うのではなく、放っておく。いつ宿題するのかな、と思いながらも口には出さない。子どもは本当に必要だと感じたら、自分から宿題をやりだすものです。中学受験において結局、受験に臨むのは子どもですから、親が手を貸してもしょうがないんです」

 とはいえ、まだ幼い小学生が相手のこと、中学受験では親の意志がなければ、合格を勝ち取れないという意見もあるだろう。

「小学校3年生や4年生では『こころの脳』が育っていないわけですから、自分で意思決定をすることは難しい。ですから、中学受験をするかしないかは親が決める必要があるだろうと思います。ただ、その上でどこの学校を受けるか、は子どもが高学年になった時に、学校見学などをして、子どもがその学校に行きたいと思っているか、子どもの適性としてその学校に合っているか、を観察し、偏差値以外の部分でよく見て決めるべきだと思います」

公立中学に行く選択肢

 ほかに重要な点として、

「経済的余裕があることと最終的に公立中学に進むことを許容することです。経済的余裕がないと、“お金がかかっているんだから絶対に塾に行かせないといけない”“中学受験を辞めさせられない”というマインドになってしまい、過干渉に陥ってしまう。いつでも中学受験をやめてもいいという経済的余裕はあったほうがよいと思います。加えて、中学受験で志望校に受からないことや受験の過程で親子関係のトラブルが起こることは十分にあり得るのですから、公立中学に行くことをポジティブに捉えて高校受験に備えられるようにしておく、ということでしょう」

 長きにわたる中学受験の過程では親子関係で様々な問題が起こりうる。合格を勝ち取るための戦略だけではなく、「撤退」も視野に入れておくことが肝要ということだろう。

 前編「一流企業に勤める『父親』の“過干渉”がトラブルの原因に…『中学受験で親子関係が破綻する』のはどんな家庭か」では、成田氏に中学受験で起こる親子トラブル、その対処法として「信頼と心配のバランス」について聞いている。

デイリー新潮編集部

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