〈実物大の動く戦車〉〈300台のラジカセコレクション〉 “こどもゴコロ”をくすぐる「大人の自由研究」大特集

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集めたラジカセは300台!

 FMのエアチェック――昭和の若者はFM雑誌を見ては、流れる音楽をカセットテープに録音したもので、そこで活躍したのが「ラジカセ」。日本の音響、家電メーカーが競って高性能の製品を開発していたから「いい音でしょ」と、語るのは中村雅哉さん(62)。本業は映像制作だ。オーディオに前のめりになったのは高校生の頃だった。

「父親のオーディオでFMの録音をしていたけど、自室にも欲しくてラジカセのカタログを集めて研究したんです」

 ソニー、アイワ、シャープ、ナショナル……その中で最初の一台となったのが、ビクターのRC-838だった。欲しい機能を備えた名機で、今もきれいな音を奏でるが、これでは飽き足らず、以来、質屋や廃品業者に通って集めた数は「300台は下らない」。ひと頃は私設博物館も作った。

「今はデジタル一辺倒の時代ですが、メンテナンスして、スペックに見合った使い方をすれば、カセットの方がずっといい音が出ることもあるんですよ」

 好きなものについて語る大人たちの目は一様に輝いていたのである。

撮影・福田正紀/本田武士/西村 純

週刊新潮 2024年8月15・22日号掲載

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