「品性下劣もほどがある…」後輩夫婦まで巻き込んだ妻の復讐不倫 すべては25年前の「結婚パーティー」が始まりだった

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【前後編の後編/前編を読む】26年目の結婚記念日に「浮気したのよ、私」と妻が告白 混乱する55歳夫が忘れていた「あの日」の記憶

 横川春喜さん(55歳=仮名・以下同)は、26回目の結婚記念日に、妻の美香子さんから「浮気したのよ、私。どう思う?」と突然告げられた。2歳年下の美香子さんとは「デキ婚」だったが、結婚前、10年ほど先輩の職場の女性とふたまたをかけていた時期が彼にはあった。結婚に際し開いた自宅でのパーティーにも彼女は姿を現したものの、特に問題は起こさなかった……。「やっと復讐できた」と言う美香子さんが、胸の内を語り始めた。

 ***

「娘が産まれてすぐのころ、家でパーティをしたでしょう。あのときのこと、あなたは覚えてないの、と妻が言うんです。楽しかったよねというと、何人か泊まっていったでしょと妻。男ふたりくらいいたかなと記憶をたどると、妻がいきなり『私は忘れてない。あなたが夜中に女性とセックスしていたこと』と。そんなバカな、と言いかけたとき、ふっと記憶が蘇ってきたんです」

 男ふたりが酔っ払い、リビングに続く和室でごろりと寝てしまった。そして例の先輩女性がリビングのソファにぐだっと座ってちびちび飲んでいた春喜さんにのしかかってきたのだった。最後までしたかどうかの記憶はなかった。

「してたわよ、と妻が言う。私はふたりが反転してあなたが彼女の上に乗って動いているのを確かに見た。娘を寝かしつけて、少し喉が渇いたからキッチンに行ったら、リビングから女性のくぐもったあえぎ声が聞こえてきたんだもの、それで近づいたらあなたが動いていた。彼女ののけぞった顎も見た。私がそのとき受けたショックがわかる? 妻は今まで聞いたことのない激しい口調でそう迫ってきました」

 だからといって、春喜さんの中で、その記憶は決して生々しいものではなかった。言われてみればそうだったかもしれないという程度の記憶に過ぎない。

「ただ、25年間、そのことを決して言わずに『いい妻』を演じてきた美香子に不気味なものを感じました。こんなことを言ってはいけないと思うけど。『あの日から、私の中であなたは敬意をもてない人になった』というから、『だったらどうしてそのとき、あるいは翌日に言わなかったんだよ』と思わず妻を責めるような口調になってしまいました」

今さら言われても…

 ふたりきりで暮らすようになってから、四半世紀も前の恨みを聞かされても自分の心には響いてこなかったと春喜さんは言う。もちろん、「ひどいことをしたんだ」と認識したが、時間が経ちすぎてぼんやりした記憶の輪郭しか残っていないのだ。

「悪かったと謝ってはみたものの、美香子は『私を大切に思ってくれる人がいるから』と妙な匂わせ発言をする。嫉妬されたいんだろうなと思いました。だから軽い気持ちで『浮気と言っても仲良くしているだけなんだろ。相手は誰なんだよ』と聞いてみたんです。すると『吉田くんよ』って。これはさすがに何度も聞き返してしまいました。吉田というのは、私がかわいがっている職場の後輩なんです。うちにも何度も遊びに来たことがある。そしてその吉田に結婚相手を紹介したのは私と妻なんですよ。夫婦でときどき行くレストランのシェフの娘さんとの仲をとりもった。瑠璃さんというその娘さんはパティシエで、すごくセンスのいいデザートを作ってくれる。吉田は独身主義だと言っていたのに、その娘さんと会わせたら意気投合、1年たらずで結婚したんです」

 さらに話を聞いていくと、妻は吉田さんとかなり深い仲になっているようだった。瑠璃さんに申し訳ないと思わないのかと聞くと、「吉田くんは私より一回りくらい下よね。あなたのあのときの浮気相手だって同じような年回りだったじゃない」と言い放った。

「江戸の敵を長崎でみたいな話じゃないですか。何の罪もない娘さんから、夫を奪い取るような真似をして。私は二重にショックでした。こんなに時間がたってから、子どもじみた復讐劇を繰り広げて楽しいのかと思わず怒鳴ってしまいました。妻に対して、あんなに声を荒げたのは初めてだったと思います」

 今になってそんなことを言う妻を、春喜さんは一気に信じられなくなった。妻が何を求めているのかがわからない。離婚したいのかと聞くと、それは考えていないというが、春喜さんのほうが妻への思いやりをもてなくなった。だが、元はといえば自分が蒔いた種。妻に負い目を感じるように仕向けられているのが、なんとも腹立たしいのだが、その怒りを前面に出すこともできなかった。

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