26年目の結婚記念日に「浮気したのよ、私」と妻が告白 混乱する55歳夫が忘れていた「あの日」の記憶

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【前後編の前編/後編を読む】「品性下劣もほどがある…」後輩夫婦まで巻き込んだ妻の復讐不倫 すべては25年前の「結婚パーティー」が始まりだった

 裏切られたら復讐する。目には目を。現代はそんな価値観が一般的なのかもしれない。「泣き寝入り」をしてはいけないのだ。声を上げ、正当なさばきを受けさせる。もちろん、刑事事件なら当然のことだが、それができない人の心の問題であるなら、自分が傷ついたのと同じように相手にも傷を負ってほしい。そういう声をよく聞く。

 横川春喜さん(55歳=仮名・以下同)は、25年ぶりに蘇った記憶と、それを思い出させた妻に複雑な気持ちを抱いているという。人が長年、心に蓋をしたまま普通に生活し、いざというときその蓋を勢いよく開けられることにも驚いているらしい。

「結婚26年目の結婚記念日に、妻が突然、浮気をしていると白状したんです。しかもそれは私のせいだという。私がそんなに悪いのか、妻はどうしたいのか。さっぱりわからなくて日々、鬱々としています。妻の真意がどこにあるのか、私の本音は何なのか、わけがわからない状態なんです」

 真夏の夕刻の喫茶店で、向かい合った春喜さんはネクタイひとつ緩めず、上着までピシッと着て背筋を伸ばして座っている。暑くないですかと言いながら、やたらと冷水を飲む筆者とは大違いだ。ずっとこうやってまじめに実直に生きてきたのだろう。なのになぜ、そんなことになっているのか。

結果的に「ふたまた」を…

 春喜さんは29歳のときに2歳年下の同僚である美香子さんと結婚した。実は「デキ婚」なのだとか。まじめそうに見える春喜さんだが、「結果的にふたまたをかけたような形になっていた」そうだ。

「私は美香子とつきあってるつもりでいたんですが、ある日、職場の10年ほど先輩にあたる女性に相談があると言われました。彼女は院卒ですから一回りくらい上だったんでしょう。相談というのは恋人の件で、若造の私に意見を求められてもよくわからない。結果的にホテルに誘い込まれていました。それが目的だったんでしょうね。なんだかわからないけど、私も先輩のためにがんばらなければと思ってしまって。先輩には仕事で本当にお世話になっていたし、男として相手をガッカリさせたくなかった」

 がんばったために、数日後、また「所望」された。それが続いているときに、すでにつきあっていた美香子さんの妊娠が判明したのだ。すぐに美香子さんに結婚しようと言ったが、会社に言うのはもう少し待ってと頼み込んだ。そして恥ずかしいからと美香子さんには退職してもらった。怒った先輩がすべてバラすのを恐れたのだ。

「結婚式の数ヶ月前、そろそろ発表しようかと思ったときに美香子の父親が急逝したんです。美香子もそろそろお腹が目だってきたし、いっそ結婚式はとりやめようかという話になりました。それは美香子の母が言い出したんですが、式には職場の人間も呼ぶつもりでいましたから、私にしたら渡りに船。とりやめましょう、いつか写真を撮るだけでいいですと言い張りました。美香子は不服そうでしたが、延期して式を乗り切る体力的な自信はなかったんでしょう。結婚式をしない代わりに新居には彼女が望んだ食洗機なども備え付け、当時としては電化製品の充実した家で生活を始めました」

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