元従業員が告発! 「山崎製パン」デニッシュ消費期限偽装の手口 「手作業でパンの袋を全部開封して翌日分として再包装」【スクープその後】
「指示を直接出すのは工場の係長」
次のような不正が行われるのも、「予算」の圧力が強いからであろう。
「私が働いていた工場では、消費期限を変えてしまう、ということをやっていました。消費期限の偽装と言ってもいいでしょう」
そう語るのは、山崎製パン阪南工場の元従業員だ。
「注文を受けてパンを製造したものの、発注元が在庫を抱え過ぎていて、“やっぱりいらないです”と言われることがあります。そういう場合、手作業で商品の袋を全部開封してパンをベルトコンベアーに流し、翌日の納品分として包装しなおすのです。当然、消費期限の表記も繰り越されます。1回に包装し直すのが100個や200個という数になることもありました」(同)
そうした手法で消費期限偽装が行われていたのは、主に「デニッシュブレッド」という商品シリーズ。2~3日に1度ほどのペースで行われていたというから、常態化していたと言っても過言ではなかろう。
「指示を直接出すのは工場の係長です。現場の従業員は当然、それが消費期限の偽装に当たることを認識しています。しかし、それを係長に問い詰めても面倒なことになるだけなので、皆黙って従うのです」(同)
山崎製パンは「調べようもない」
詰め替えという悪質な消費期限偽装について、山崎製パンの広報部門担当者は「週刊新潮」の取材に対しこう答えた。
「食品衛生部門に確認したところ、そういうことはないと言ってます。(ただし)周りの目を盗んでちょっと悪いと思いながらもやってしまったということがゼロかどうかっていうのは、調べようもない」
いや、決めつけずに調査を試みることこそが、人の口に入る「食品」を製造している企業としての最低限の責務ではなかろうか――。
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いまだに数々の不祥事の真相は判然としない。7月に山崎製パンが発表した決算資料を見てみると、業績は右肩上がり。その理由は「いのちの道の教えに従った」と書かれており、飯島延浩社長の独自の経営方針は相変わらずのようだ。有料記事「『新入社員の女性が手首を切って自殺』 山崎製パン元従業員が明かすブラックすぎる労働環境…『消費期限の偽装もやっていた』」では、「生命の道」「神のみこころにかなう日々の仕事」といったキリスト教的経営方針にカモフラージュされた、社員を犠牲にする利益・効率優先主義について詳報している。