〈父娘で“プレイ”の練習〉、〈眼球を瓶に入れ「私の作品見て!」〉【ススキノ首切断】初公判、娘の“奴隷”となった実母が目にした「地獄絵図」【スクープその後】

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「おじさんの頭持って帰ってきた」

 弁護側としては、浩子被告は事前に殺害計画を把握してなかったと見立てているようだ。娘は過去にトラブルになった相手と再会し、”プレイ”をすることを楽しみにしていたはずだが、やはり親としては過去のトラブルが気になるため、会うのを止めようとしたが止められず、意図せず事件が起こった……という主張になる。

 瑠奈被告はクラブで男性と再会し、ホテルで殺害したのち、ノコギリで切断した頭部をキャリーケースに入れて修被告の車で自宅に戻った。浩子被告は3日ごろ、頭部を家で隠匿していると知ったという。

 検察側は「修被告とそれを容認して生活を続けた」というが弁護側は「(事件の)翌朝、起きた瑠奈被告から『おじさんの頭持って帰ってきた』と言われ、半信半疑だったが、ホテルで男性の頭部のない遺体が発見されたという報道を見て初めて、瑠奈被告の言葉が本当なのではと思ったが、確認できず、浴室に近づかないようにすることしかできなかった」と言い、ここにも食い違いがある。

 さらに瑠奈被告は頭部を持ち帰るだけでは飽き足らず、刃物を使ってその皮膚をはぎ取り、左眼球や舌、食道などを摘出した。そのうえ「死体損壊の様子を撮影して欲しい」と言われた浩子被告は「撮影カメラマンするでしょ」とこれを修被告に依頼。修被告が、瑠奈被告が男性の頭部から右眼球を摘出する様子を撮影した。

「警察が来たときに運命を受け入れよう」

 それでも止まらず、瑠奈被告はくり抜いた眼球を瓶に入れ、頭部から剥いだ皮膚は浴室のワイヤーに吊るされたザルに干すなどしていた。

「瑠奈被告は浩子被告に『私の作品見て欲しい』とことさら見せつけて、修被告にも見せたいから呼ぶようにと伝え、これを受け浩子被告は『よろしかったら、お嬢さんの作品ごらんくださいな』と告げ、修被告にもことさら見せつけた」(検察側冒頭陳述)

「自宅に頭部があるということは、2人にとって言葉で言い尽くせないストレスを生んだが、なすすべなく、これまで通り過ごした。修被告は現場まで送迎しており、浩子被告は早い段階で警察から尾行されていることに気づいていたので、逮捕されることも気づいていた。警察が来たときに運命を受け入れよう、と、これまで通り過ごすことを決めた。瑠奈被告だけ逮捕されると思っていたが、2人も逮捕された」(弁護側冒頭陳述)

 双方の冒頭陳述が終わった段階で20分間の休廷が挟まれた。再開後から証拠調べが始まったが、遺族の調書をはじめとする検察側請求証拠のほとんどを弁護側が不同意としており、ごくわずかな修被告の調書などが読み上げられ閉廷した。瑠奈被告の調書が存在するのかどうかは法廷でのやりとりでは不明確だった。

 浩子被告は、娘が男性の頭部を自宅浴室に隠匿していたことを容認していたのか、していなかったのか。“奴隷の立場をわきまえる”といった誓約書を書かされ、首を絞められても、“瑠奈ファースト”を貫いていたはずの夫婦が、事件前に何度も被害男性に架電し、会うことを止めようとしたのは“瑠奈ファースト”の精神に反している。些細なことで叱責するはずの瑠奈被告に勘付かれでもしたら、無傷では済まないはずだ。今後の公判で、浩子被告は当時の見解をどう語るのか。

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 2回目の公判では、弁護側が、瑠奈被告は引きこもり状態になった18歳ごろから両親と一緒でなければ外出できず、友人がいなかったと主張。しかし、「週刊新潮」の取材によれば、瑠奈被告は自宅の最寄り駅近くにある居酒屋を複数回、同年代の女性たちと訪れていたようなのだ。関連記事「『瑠奈被告の奇行を“盛る”ことくらい想定内』 ススキノ首切り事件、弁護側の“虚偽主張”は『減刑』狙いの可能性」では、弁護側の“虚偽”の主張について詳報している。

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
ノンフィクションライター。福岡県出身。2006年『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』でデビュー。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆。著書に『木嶋佳苗劇場』(共著)、『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』など。

デイリー新潮編集部

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