“訪日客が食べ過ぎだから”の珍説も…コメ不足の真相に迫る 農水省は「そろそろ解消」
「インバウンド外国人観光客が食べまくっている説」は本当?
坂本哲志農林水産大臣も6月14日の記者会見で
「現時点で主食用のコメの需給がひっ迫している状況ではない。消費者は安心してほしい」
と冷静な対応を呼びかけたが、気になるデータもある。
先の7月30日の部会資料によると、2024年の需要実績値は702万トンと、前年の691万トンを上回っているのだ。人口減少、和食離れなどで米の需要量は減少傾向にあったのでは――?
「これは物価高騰の影響があったと考えています。ここ数年、小麦や麺の販売価格が上昇していますが、昨年末あたりまで、米はそれらと比べるとまだ値ごろ感があった。消費者が相対的に買いやすいお米にシフトしたと分析しています」(農林水産省の担当者)
「インバウンド外国人観光客が食べまくっている説」についても尋ねてみた。
「推計値ですが、“インバウンドによる米の需要増に係る試算”というデータも出しています。訪日外国人観光客は前年比で2.3倍の3212万人で、平均泊数も前年の8.8泊から10.1泊に伸びています。ここから先はあくまで推計値ですが、仮に外国人観光客が1日2食お米を食べて、大柄な人が多いのでカロリーベースで日本人の1.2倍の消費があるとします。するとインバウンドによる米の消費量は前年の1.9万トンから3.1万トン増えて、5.1万トンに増えたという計算になります」(同)
率にして約63%アップ。珍説かと思われた「インバウンド説」もあながち間違いではなかったか。
「ただ、全体の消費量702万トンに占める割合で言うと、需給状況全体に大きな影響を与えるものではないと考えます」(同)
気になる今後の見通しは
では、今後の状況はどうなるのだろうか。
「実は、お米の需給は今がちょうど端境期なんです。お米は年に1回しか獲れませんから、収穫期の直前はどうしても薄くなりがち。ただ、宮崎県や鹿児島県で取れる早期米のコシヒカリが既に市場に出回り始めていますし、高知県や福島県、三重県の収穫の早いお米もそろそろ出始める頃。8月中には生産量の多い千葉県の新米も供給されます。私も職業柄スーパーのお米売り場はチェックしていまして、確かに一部で品薄状況にあるのは事実だと思いますが、早期米の供給が始まることで、状況は改善していくはずです」(農林水産省の担当者)
また、旺盛な消費を背景に今年収穫される米の作付け量も増加が見込まれているそう。
「ここしばらくは“お米あまり”の年が何年か続いていて、農家の方々も作付けを減らしてきた背景がありますが、今年は全体で見ると作付け量が増加傾向ですし、今のところ生育状況も良好と聞いています」(同)
在庫量で示される数字は、全て精米前の玄米での値とのこと。昨年は収穫量こそ多かったものの、猛暑などの影響で精米できる比率も低かったそうだが、今年収穫された米は今のところそういった心配もなさそうだという。
作付けを増やしてくれた農家の皆さんに感謝し、たくさん新米を頬張りたい。
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