タイタニック監督、元007俳優も参戦 「日本は100年遅れている」「法律を尊重しない国」…日本人だけが知らない「シー・シェパード」創設者釈放運動の熱狂

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「日本から嫌われた」

 ワトソン容疑者は先月21日、グリーンランドの政庁所在地ヌークに船で寄港した際に現地治安当局に拘束された。日本は2010年に調査捕鯨妨害事件で逮捕状を取り、国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配を要請した。ワトソン容疑者は以来、反捕鯨国の米国やフランスなどに滞在し、これらの政府の政治判断で逮捕されることはなかったが、グリーンランドやフェロー諸島で捕鯨を行っているデンマークは一線を画し、国際指名手配に基づき、ワトソン容疑者を逮捕した。

 ワトソン容疑者が現在、所属している「キャプテン・ポール・ワトソン財団」(CPWF)によれば、ワトソン容疑者が乗った船は、日本海沖の北太平洋で操業している新型捕鯨母船「関鯨丸」の操業を実力行使でやめさせるため、北極海とベーリング海峡を抜けるルートを目指していた。グリーンランドのヌーク港にはその航行ルートの途中で、補給のために寄港した。ワトソン容疑者を待っていたのはデンマーク警察の要員だった。

 CPWFは即座に対応した。公式サイトなどで「ワトソンが逮捕された」などと、デンマーク警察の部隊が船に入ってきた場面を撮影した映像を流し、全世界に釈放を呼びかけるよう訴えた。支持者らは「海の英雄を救え」などと呼応した。

 釈放運動に勢いをつけたのは、反捕鯨を公に訴え、ワトソン容疑者やメンバーらと親交のあったインフルエンサーたちだった。

 フランスの大女優で動物愛護のための財団を作ったブリジット・バルドーは1970年代からワトソン容疑者と親交があり、これまでもワトソン容疑者の行動を支持してきた。バルドーは「彼は5000頭のクジラを救い、日本から嫌われた」と語り、率先して、ワトソン釈放運動に加わった。

首相への嘆願書

 ハリウッドのインフルエンサーがすぐに呼応した。

 ジェームズ・キャメロン監督がSNSにこんなメッセージを出した。

「伝説的な活動家であるキャプテン・ワトソンはもう何年も海を守るために立ち上がってきた。彼の即時釈放をデンマーク政府に求める国際コミュニティーに参加する」

 デンマークメディアによると、すでに日本政府からの身柄移送要請がデンマーク政府に届いており、身柄移送の決断は最終的にデンマーク法務省が判断するという。

 ネット上では、デンマークのフレデリクセン首相や法務省に対して、ワトソン容疑者の釈放を求める嘆願書を送ろうという運動も行われている。

 ワトソン容疑者と30年来の友人であるというピアース・ブロスナンはネット上に「FREE Paul watson」とするセルフィーを挙げた。さらにフレデリクセン首相への嘆願書を作成し、「彼の行動はこれまでいつも国際法を遵守することに関心が向けられてきた」と熟慮するよう求めた。

 米国の人気アーティスト、ブライアン・アダムスやパール・ジャムもX(旧Twitter)で、自分たちのファンに#FREE PAUL WATSON運動に加わっていることを表明し、たくさんの賛同が寄せられている。

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