「風呂キャンセル界隈」「ジャニオタ界隈」は分けるけど…「和室界隈」とは? 女子中高生の最新流行語

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「界隈」はジャンルの表し方の1つ

 一昨年あたりから流行している「和室界隈」は少し難しい。「実用日本語表現辞典」によると、「垢抜けない・野暮ったい・オタクっぽい・ダサい・地味な雰囲気を漂わせている人」を指す意味で、TikTokで主に用いられている用語。そのような人の多くが、「オシャレな洋室ではなく、実家の暗めの和室のような部屋で撮影していることが多い」ということに基づく言い方だという。

 若者の世界だけの流行といえばそれまでだが、「風呂キャンセル界隈」という用語の大流行によって実際に風呂に入らない若者が増えると、特に夏場は衛生面や健康面への悪影響も懸念されるのだが……。

『若者言葉の研究─SNS時代の言語変化』(九州大学出版会、2022年)などの著書がある宇都宮大学の堀尾佳以講師(現代日本語学)がこう指摘する。

「若者が好んで使う『〇〇界隈』という言葉は社会言語学の授業でも触れました。この『界隈』はジャンルの表し方の1つで、~~系、例えば『原宿系』などと同じくある一定期間は使用されるでしょうが、次の世代まで継続されるかどうかは不明です。かつて女子中高生の間で大流行した『激おこプンプン丸』は今やほとんど使われていないのと同様、大多数の若者の間で使われるようになると急速に飽きられてしまう現象がよく起こります。それよりはもう少し息の長いものにはなるでしょう。今後の使用傾向に注目していきたい言葉です」

 懸念されるのは「界隈」の意味について「人々の集団」という意味しか持っていない、と考える若者がいることだ。超難関国立大学の男子学生は「自分もSNSで界隈という言葉をよく使います」と明かした うえで、「ぼくは人々の集団という意味で使っています。赤坂界隈や青山界隈というように『界隈』に地理的な意味があるとはまったく知りませんでした。もし共通テストの国語の問題で『界隈』の意味を問われたら、ほとんどの受験生は誤答してしまうのではないでしょうか」と指摘した。

 若者言葉は日本語に新しい活力を呼び込んでいるが、ここまで使い方が変容するとは――。

デイリー新潮編集部

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