今朝丸裕喜だけじゃない! なぜ「報徳学園」はプロ注目の好投手を次々と生み出せるのか

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土台となるトレーニングを大切にする指導方法

 好投手を生み出せる理由について、前出の磯野部長に聞いてみた。

「『体作りが8割』『技術が2割』という方針で指導しています。基本的に、投球技術は良いものを持つ選手が多いので、それを伸ばすためにも、体作りが大事だと思っています。ピッチャーに必要な筋肉をつけるトレーニングは、トレーナーに担当してもらい、自分がランニングや(ピッチングフォームに関する)動き作りを見ている。あとは、『選手の邪魔をしないこと』『一生懸命できる環境を作ること』を心がけています。そうすれば、選手が自分で考えるようになりますし、大学や次のステージ(プロ野球など)に行っても成長しやすいのかなと。間木も最初はボールに力がなかったのですが、今朝丸というライバルがいるので、苦手なトレーニングを頑張ってフィジカルが強くなった。ストレートのアベレージ(平均球速)も上がりましたね」

 選手のコンディション管理には、デジタルツールを導入し、時には外部の指導者に指導を仰いでいるという。高校野球を見ていると、チームによっては毎年同じようなフォームで投げる投手が出てくることが珍しくないが、報徳学園は、今朝丸と間木を見ても、全くフォームやタイプが異なっている。“型”にはめるのではなく、個人の特性を生かしながら、土台となるトレーニングはしっかり行う指導方法が、選手の成長に繋がっているようだ。

 報徳学園の今年の夏は終わったが、秋の兵庫大会に出場する新チームには、2年生左腕の岡田壮真や1年生の大型右腕、江藤達成ら有望株が顔を揃える。今朝丸に次ぐ好投手が、来年以降の甲子園を湧かせることも十分に期待できそうだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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