夏の甲子園、継投の難しさを痛感した「宮崎商対中京大中京戦」 宮崎商の“抑え投手”は足が2度も攣って登板できず

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足を攣って続投が困難に

 一方、宮崎商も宮崎大会を継投で勝ち上がってきたチームだった。県大会は、小野壮真(3年)が3試合、上山順平(3年)が2試合で先発。どちらか先発していない投手が中継ぎに回り、最後は、ショートを守る中村奈一輝(3年)がマウンドに上がり、試合を締める―これが宮崎商の勝ちパターンだ。

 この日も、前述したように宮崎商は7回に1点を勝ち越した。勝ちパターンに持ち込める展開に見えたが、ここで思わぬアクシデントがチームを襲う。

 7回裏の守備でのこと。中村が後方の打球を追いかけた際に脚が攣ってしまったのだ。一度、中村はベンチに戻り治療を受けて試合に復帰したが、ピッチングができるような状態ではなかったという。

「選手たちは、本当に粘り強くプレーしてくれました。終盤まで、うちの展開だったので、もう少し自分が選手たちを上手く導いてあげれば、逃げ切れたのかなと思うので、(個人的に)悔いは残ります。(継投については)最後は中村というのがうちの形で、今日も8回、9回を中村でいこうと考えていました。地方大会5試合は全て中村が最後で投げていて、今日のように投げられなかったことはなかったです。ただ、(足が)2度攣ってしまったので、本人からも無理ですということでした」(宮崎商の橋口光朗監督))

 今大会も、連日猛暑の中で試合が行われており、中盤以降になると脚が攣る選手が目立っている。特に、中村は動きの多いショートで守備機会が多かったため、体に大きな負担がかかっていたようだ。

 継投が遅れて同点に追いつかれた中京大中京と、試合を締めるはずだった中村が足の痙攣に泣かされた宮崎商。夏の甲子園での“継投の難しさ”を痛感させられた一戦だった。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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