夏の甲子園、継投の難しさを痛感した「宮崎商対中京大中京戦」 宮崎商の“抑え投手”は足が2度も攣って登板できず

スポーツ 野球

  • ブックマーク

継投の難しさ

 一方、第1試合の宮崎商(宮崎)対中京大中京(中京)は、互いに継投が上手くいかず、終盤まで試合がもつれた。

 中京大中京が4回に2点を先制するも、6回に宮崎商の反撃を許す。中京大中京のエース、中井遥次郎(3年)は、ヒットと四球からワンアウト二・三塁のピンチを招き、犠牲フライで1点を失った。

 ベンチ前では、田中太久哉(2年)が、いつでも登板できるように準備していたように見えたが、中井は続投。7番の小倉侑大(3年)にタイムリースリーベースを打たれ、2対2の同点とされる。中井はここで降板。マウンドにあがった田中が、次の打者に四球を与えるも、9番の吉田健晟(3年)をセンターフライに打ち取り、逆転を許さなかった。

 しかし、7回。宮崎商が1点を取って勝ち越しに成功。中京大中京はその裏に2点を奪い、逆転に成功して4対3で振り切った。

 試合後、6回の継投について、中京大中京の高橋源一郎監督に聞くと、以下のような答えが返ってきた。

「いつもは、早め早めの継投を心がけているのですが、愛知大会の初戦、誉高校戦。7回、2点リードしたワンアウト一・二塁の場面で、キャッチャーが“バツ”というサインを出したので、(中井を)交代させました。そうしたら、同点に追いつかれて、中井がかなり不服そうな顔をして、キャッチャーの杉浦(正悦)にも怒りをぶつけていた。試合後、中井を呼んで、『それなら次からは自分でしっかり抑えてくれよ』という話をしました。うちのエースですし、今日も相手の先発投手がまだ投げていましたから、しっかり粘ってほしいという気持ちがありました。同点までは中井で行こうと、決めて任せました」

 実は、高橋監督には、2017年の夏の甲子園でも、継投失敗の“苦い思い出”がある。初戦の広陵戦、2対0でリードしながら、エースの磯村峻平(現・トヨタ自動車)を5回で降板させた。だが、続く投手が次々と打たれて10点を失い、10対6で完敗した。

 高橋の脳裏には“7年前の悪夢”がよぎったようだ。

「7年前と(2対0でリードするという)同じような展開でしたね。あの試合では、継投した時に、広陵さんのベンチで中井(哲之)監督が笑みを浮かべたんです。中井監督にとってはありがたかったと思いますが、そう思わせてしまう継投をした私の失敗ですよね。その経験もあったので、早く(継投に)動くべきなのか、そうではないのか。(広陵戦の)負けから学んで、凄く考えるようになりました。今日は(継投した後の7回に)逆転されましたけど、その後も、キャプテンの杉浦を中心に粘り強く戦ってくれて、再び逆転できた。選手がたくましく戦ってくれたと思います」

次ページ:足を攣って続投が困難に

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。