岡本和真、万波中正、今宮健太…「夏の甲子園」のマウンドに上がったプロで活躍中の“強打者”

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 プロ野球では打者として名を成した選手も、高校時代は投手を経験した者が多い。現役選手では、堂林翔太(中京大中京→広島)が2009年夏の甲子園優勝投手として知られ、それ以前にも、PL学園時代の清原和博や桐蔭学園時代の高橋由伸が夏の甲子園のマウンドで投げた姿を覚えているファンもいるはずだ。現在、プロで活躍中の強打者の中から、憧れの甲子園で登板をはたした3人を取り上げてみたい。【久保田龍雄/ライター】

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高校時代、150キロ超の速球を投げたソフトバンク・今宮健太

 背番号6の遊撃手ながら、甲子園で最速154キロをマークしたのが、ソフトバンク・今宮健太である。

 明豊入学直後に守備力を買われ、いきなりショートのレギュラーになった今宮は、投手の能力も高く、2008年のセンバツにはエースナンバーを着けて出場。「1番投手」という珍しい打順でも話題になった。

 翌09年夏は、エースナンバーを野口昂平に譲り、ショートやサードを守ったが、実質的にはダブルエースだった。

 3回戦の常葉橘戦で3回途中からリリーフした今宮は、延長10回まで7回2/3を2失点、1点を追う9回に同点打を放つなど、投打にわたって勝利に貢献。4回には自己最速の153キロを記録した。

 そして、準々決勝の花巻東戦では、菊池雄星(現・アストロズ)との先発対決が実現する。

 今宮は4回途中4失点KO、菊池も5回途中、背中の痛みを訴えて降板するという波乱の展開のなか、6対6の同点に追いつかれた直後の9回1死二塁、今宮は再びマウンドへ。「171センチの体でも150キロを出せるのを証明したかった」と、10球中7球まで150キロ台、3球目と8球目に154キロと自己最速を更新する気迫の投球で、2者連続三振に打ち取った。

 だが、延長10回2死二塁のピンチに「悔いを残したくなかった」と3番・川村悠真に渾身の直球勝負を挑み、二塁手のグラブをかすめる中前決勝タイムリーを浴びた。

 最速154キロと高校通算62本塁打を記録した“豪打剛腕”の二刀流は「自慢の直球を打たれた。相手打者が上でした。野球は一生続けます」と気持ちを切り替え、プロ入り後は、巧打堅守の名遊撃手になった。

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